不法労働者も未払賃金請求訴訟が可能=高裁判断
(7月30日 ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版)
マレーシアの高等裁判所が先ごろ、無報酬で働かされてきた不法労働のインドネシア人女性に対して未払い賃金を雇用主に請求できるとする画期的な判断を下していたことが明らかになった。
クアラルンプール(KL)に本拠を置く移民の権利擁護団体、テナガニタがロイターに対して明らかにしたところによると、このインドネシア人女性は20歳代で、正規の労働許可がないまま5年間近く家政婦として働いていた。不法労働であることが発覚したため先ごろ解雇されたが、賃金が一切支払われていなかったと主張していた。2017年にテナガニタの庇護を受け、雇用主を相手取って3万リンギの未払い賃金の支払いを求める訴えを行なっていた。
労働局や労使裁判所が共に女性が不法労働者であったことを理由に訴えを受理しなかったため、2018年に高等裁判所に上告。高裁は不法労働者であっても未払い賃金の支払いを求める訴えは可能との判断を下した。
テナガニタのグロリン・ダス氏は、斡旋業者などに騙されて不法労働者となってしまい、無給で働かされても不法労働者であることから泣き寝入りしている多くの外国人労働者がいると指摘。彼らにとって福音になると高裁判断を評価している。
米国務省が6月に発表した2019年度版の年次人身売買(TIP)リポートでは、マレーシアの評価は「努力拡大を証明できなかった」「被害者数が増加した」といった理由で、上から3番目の「ティア2要監視」にとどまった。