日系企業の景況感、リーマンショック以来の水準に低下

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 
マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)とジェトロ・クアラルンプール事務所は6日、JACTIM会員企業を対象に実施した2019年下期の景気動向調査を発表。「良好」から「悪化」を引いたDI値がマイナス29.9となり、リーマンショックでマイナス55.3となった2008年下期以降で最低水準となった。同調査は半年に1度行なっているもので、今回は2019年8月13日から10月25日にかけて会員企業557社を対象に実施し、53%にあたる296社(製造業191社、非製造業105社)から回答を得た。DI値は前々回のマイナス5.2、前回のマイナス18.9からの3期連続の続落で、前回予想のマイナス11.0を大幅に下回った。

米中貿易摩擦の影響や半導体市況の低迷、人件費高騰を理由に挙げる企業が多かった。業種別では電子・電気(E&E)、機械、鉄鋼で悪化が目立った。今年上期については悪材料が出尽くしたことと米中貿易摩擦が改善に向かうことへの期待感からマイナス27.1と若干の景況反転が予想されているが、新型コロナウイルス感染拡大前の調査であるため、現時点での景況感はさらに下振れしていると推測される。

また、これまで「不足」が続いていた従業員数については、過去5年間でDI値がプラス1.4と初めて「過大」となった。需要不足による生産ニーズ低下のために結果的に過剰になったものとみられる。来期についてはさらに5.9へとプラス幅が拡大する見込みとなっている。
業界の需給判断については、DI値がマイナス33.1となり、2013年以降の最低を更新。米中貿易摩擦などで需要増への期待間が薄いためとみられる。

新型コロナウイルス拡大の影響についてJACTIM経営委員会の児島大司委員長は、2002—2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時とは状況が異なるため影響判断が難しいものの短期的な影響にとどまるとの見方を表明。中・長期的にはむしろ米中貿易摩擦の行方がより大きく影響するとの見方を示した。