部長の退職金。改訂前と改訂後の就業規則、 どちらが適用されるか?

質問

幣社の就業規則上で勤務年数が10年に満たない従業員は退職金をもらう権利がないという条項がございます。

しかしこの取り決めは2016年に5年から今の基準(10年)にしました。

今、入社2011年4月、勤続8年の部長(給与5,000RM以上/月)が 今月で60歳になり定年します。

そこで、本人は以下のように Employment Act (雇用法)の7条を根拠に、自分には退職金をもらう権利があると主張してます。

① 現就業規則の規定に沿っている
② この就業規則を変更する時に、会社側は書面通達を出している

以上の2点を理由に、「退職金を支払わない」という対応に問題はございますでしょうか?

回答

結論から申し上げますと、会社の就業規則(退職金の条項)を改訂し、レターを通達した際に、

・該当人から申し出が無かった→ 支払う必要無

・該当人から申し出があったが、会社側の対応が不十分だった→ 支払う必要有

・該当人から申し出があったが、会社側が十分な対応を行なった (当人と、最終的に合意至っていた)と認められる→ 支払う必要無

以上となるかと存じます。

就業規則(雇用契約)の不利益変更に当人が同意していたか否かが、争点になるかと存じます。

また、当該人が雇用法7条を根拠とし、退職金をもらう権利があると主張されているとの事ですが、7条では、雇用法および関連規則、命令、または補足的規則の条件よりも、雇用契約の条件が被雇用者にとって不利な場合、雇用契約の条件を無効とし、その代わりに雇用法・関連規則、命令が有効となる旨が規定されています。

雇用法および関連規則、命令には退職金の支払い規定は無い為、貴社の就業規則内で規定された退職金に関する条項は、雇用法より有利な条件に関する雇用契約であり、雇用法7条の規定は適用されません。

また、そもそも当人は雇用法の非対象者ですので、会社との雇用契約が優先されます。

以上

コメントを残す