最低賃金引き上げ、業績回復を遅らせる恐れ=FMM

【クアラルンプール】 マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長は、1日より実施された最低賃金の1,500リンギへの引き上げについて、コストが急上昇し、年内の業績回復を妨げる可能性があると懸念を表明した。
 ソー会長は、旧最低賃金額の1,200リンギ(農村部で1,100リンギ)から1,500リンギへの引き上げは、基本給の25ー36%の即時引き上げに相当し、給与コスト全体に多大な影響を与え、事業コストにもその影響が波及し、景気回復を狂わせる可能性があると言明。産業界は最低賃金の見直し自体については支持すると繰り返し表明してきたが、ビジネス環境が回復途上の脆弱な状態である現状では、年内に150リンギ、来年に150リンギと段階的に引き上げる方が望ましいとし、従業員数が5人未満の零細企業のみが12月まで引き上げを猶予されると決定されたことから、それ以外の中小企業、特に郊外地域の企業が賃金コストの急上昇の影響を受けるだろうと述べた。
 ソー会長はまた、最低賃金を引き上げても、外国人労働者が毎月総額5億リンギ近くを母国へ送金すると想定されるため(合法外国人労働者数を160万人と推定)、国内経済へ直接的な好影響を与えることはないと強調。企業が現状、材料費、物流費、エネルギー価格の上昇など、各種コスト上昇に直面している中、最低賃金の引き上げが生産コストをさらに押し上げることになり、より大きなインフレ圧力につながるだろうと述べた。
(ベルナマ通信、4月28日)