シンガポールに90万人が労働移民、国内人手不足の一方で

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、マレーシア国内で人手不足が深刻な問題となっている一方で、有利な為替レートとより良い給与に惹かれて約90万人のマレーシア人がシンガポールに移住していると指摘している。このほか毎日30万人がシンガポールに通勤しているという。
 サイド・フセイン会長は、労働のためシンガポールに移住しているマレーシア人がマレーシアを離れてシンガポールを選ぶきっかけとなった要因はお金だけではなく、キャリアアップと魅力的なライフスタイルもあると指摘。シンガポールの先進産業で働く機会はマレーシア人にとって国際的なポストを獲得する上で良いことであるとし、彼らは高い収入を得て十分な貯蓄を確保しているとしている。
 人材派遣会社のエージェンシー・ぺケルジャアン・アジア・リクルートのニコラス・チョン氏は、国内のインフレと通貨リンギの下落の中で、マレーシア国民が中所得国の罠から逃れるために国を放棄し始めていると指摘。シンガポールにおける大学新卒者の給与はすでに2,600ー3,000シンガポール(S)ドル(約8,235ー9,500リンギ)となっており、近く3,100Sドル(約9,820リンギ)に上がると予想されているとし、20年前に2,000リンギだった工学部出身者の初任給がいまだ2,800リンギ程度にとどまっているマレーシアとシンガポールとの格差は明らかだとしている。
(ザ・サン、7月1日)