アブラヤシ農園が5カ月で100億リンギの損失、労働力不足で

【クアラルンプール】 マレーシアのアブラヤシ農園産業は、深刻な労働力不足により1日当たり5万7,880トンの果実が収穫できず、損害額は年初5カ月で100億リンギ以上に上っている。ズライダ・カマルディン農園一次産業相が下院議会で明らかにした。


 同省の推計によると、年初5カ月で平均5万4,190人分の労働力不足に直面し、うち50%に当たる2万9,000人分が収穫業務における労働力不足だった。このため1日当たり5万7,880トン、1カ月当たり150万トンが未収穫となり、年初5カ月の損害額は104.6億リンギに上った。


 マレーシアの農園産業は労働力の75%以上を外国人労働者に依存している。新型コロナウイルス「Covid-19」がエンデミック(風土病)段階に入り外国人労働者の受け入れ再開が急がれているが、派遣元国との条件交渉の遅れなどにより、受け入れが進んでいないという。


 持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の創設者であるチャンドラン氏は、直ちに外国人労働者を充当できない場合、パーム油産業全体で少なくとも150万トン相当のパーム原油(CPO)減産となり、平均価格を1トン当たり5,000リンギと仮定した場合、75億リンギの損失になると指摘した。
 収穫間隔が12日から25日に広がると品質が低下し始めCPOの品質に影響を与え、値引き販売をせざるを得なくなるが、現在、多くの農園、特にサバ州ではすでに間隔が20ー30日に空いてしまっているという。


 農園業界では、政府の推定を大きく上回る12万人分の労働力が不足していると主張している。
(ザ・サン、7月20日、マレーシアン・リザーブ、7月19日)