インドネシア、家政婦派遣への難色で他部門へも影響か

【クアラルンプール】 インドネシアは、マレーシアに派遣する家政婦について、マレーシアが雇用形態を変更しない場合、農園や建設分野を含むあらゆる労働者の派遣を停止すると明らかにした。
 ヘルモノ駐マレーシア・インドネシア大使は、各家庭による家政婦の直接雇用はインドネシアでは違法だとし、直接雇用が家庭内虐待につながっていると指摘。2018年に雇用経費の削減を目指してマレーシアに導入されたオンライン家政婦雇用システムでは、民間の仲介業者を通さないため、雇用契約や事前のトレーニングなしに人材が派遣される場合があるとした。そのため、雇用は政府対政府で行なわれるべきだとし、家政婦の雇用に関する覚書に合意できない場合には、他の分野にも労働者を派遣しないと強調した。
 マレーシアとインドネシアは、2006年に「インドネシア人家事労働者の採用と配置に関する覚書」を初めて締結、2011年に、2016年を期限として改正を行なった。この協定では、労働者のパスポート所持、家族とのコミュニケーション、週1回の休日の提供、月給の銀行口座への振り込みなどについて明記されており、雇用主、労働者、人材派遣会社の責任を説明した標準的な雇用契約書も提供されていた。
 ヘルモノ大使によると、新しい覚書について19日に両国間の協議が行なわれたが、現時点での完成度は草案の60%程度。一方、M.サラヴァナン人的資源相は、24日にジャカルタを訪問し、インドネシアのアイダ・ファウジヤ労働相と会見の上覚書の詳細を詰め、2月の第1週にバリで署名する予定だとしている。
 マレーシアは、家政婦から建設作業員まで、インドネシアの労働力に大きく依存している。約270万人のインドネシア人労働者が国内に滞在しているが、そのうち正規雇用は70万4千人に過ぎないという。
(ザ・スター、1月22日)