最低賃金引き上げ、アズミン上級相がSMEへの影響を懸念

【クアラルンプール】 アズミン・アリ上級相(兼通産相)は8日、「最低賃金が引き上げられると新型コロナウイルスで苦しんでいる中小企業(SME)に打撃を与える恐れがある」と述べ、最終決定を下す前にSMEや自営業者について慎重に検討する必要があるとの考えを示した。
アズミン上級相は、「政府は最低賃金を2年ごとに見直す必要があるが、中小企業や自営業の多くがパンデミックから回復に向かっている途上にあるとの現状を考慮に入れる必要がある」とコメント。来週にも閣議決定すると述べた。
法定最低賃金は現在月額1,200リンギだが、M.サラバナン人的資源相は先ごろ1,500リンギに引き上げられる方向で国家賃金諮問評議会(NWCC)から答申を受けており、年内にも実施されるとの見通しを表明。イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相も引き上げについて雇用者側に理解を求めていく考えを示した上で、雇用者側の賛同が必要と述べていた。マレーシア経営者連盟(MEF)は急激な引き上げに難色を示している。
アズミン上級相の発言は改めて政府内にも慎重意見があることを示した格好で、M.クラセガラン前人的資源相は、「国民への裏切り」と批判。アズミン氏がかつて所属していた希望同盟(PH)がマニフェストに掲げていた最低賃金引き上げを反故にしたことを指摘し、「彼は何回有権者を裏切るつもりだろう」と述べた上で、イスマイル首相に対しては、閣僚がこうした無責任な声明を出さないよう求めた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、3月9日、ザ・スター、3月8日)