雇用法改正案が下院で可決、出産休暇は98日に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 下院議会は21日、出産休暇期間の増加や夫の育児休暇などを盛り込んだ雇用法改正案を可決した。労働者福祉の向上を図ると共に国際労働機関(ILO)の国際労働基準に合致させるのが目的。この後の上院審議を通過して成立すれば、マレーシア半島部とラブアンを対象に施行される。
 「2021年改正雇用法」では28の修正条項、10の新条項の追加、6つの廃止条項など合計46カ所で変更が加えられた。出産休暇はこれまでの60日から98日に増加する。元の法案では90日となっていたが、8日追加された。また違法行為、故意の雇用契約違反、事業閉鎖を除き、妊娠中または妊娠に起因する疾病を抱える女性の解雇を禁じる項目が追加された。
 また5回を上限に、新たに夫の育児休暇7日間が認められる。元の法案では3日となっていたが、7日に改められた。
 1週間の労働時間の上限については48時間から45時間に短縮される。また従業員が雇用者に対してフレックス勤務を要望することが可能となる条項が設けられる。
 病気休暇については、「入院を必要としない休暇と入院を要する休暇の日数の合計が1年あたり60日を超えない」との付則が撤廃された。
 雇用法違反行為に対する罰則が強化され、これまで罰金1万リンギ以下だった違反行為については5万リンギ以下に、罰金5万リンギ以下だった違反行為については10万リンギにそれぞれ5倍に引き上げる。特に従業員を脅迫したり強制労働をさせるなどの重大な案件の場合は刑事訴追され、有罪判決を受けた場合は罰金10万リンギ以下、あるいは禁固2年以下、もしくはその両方が科される。