最低賃金、中小企業は中長期的対策も必要=業界団体

【ジョージタウン】 5月1日付けで実施予定の最低賃金引き上げに伴い、中小企業(SME)は経済的負担増に対する対策を短期だけではなく長期に渡って検討する必要がある。
マレーシア中小企業協会(SAMENTA)南部支部のルイス・オーイ会長は、SMEが実施できる対策として、短期的には、清掃員、警備員などの非熟練労働者向け業務の外注、中期的には、ワークフロー自動化やデジタル化の推進による外国人労働者への依存度低減、長期的には、単なる組み立て作業から設計・開発やマス・カスタマイゼーションを含む高付加価値生産への事業転換を挙げた。
一方、オーイ会長は、最低賃金の引き上げについては、政府に延期するよう提案している。ほとんどのSME、特に観光業界はパンデミックの痛手からはまだ回復しておらず、国境再開後1か月での最低賃金引き上げは早すぎると述べた。25%の給与増額をカバーするには、その1.25倍の収入が必要となるが、不足する場合にはコストを顧客に転嫁するしかなくなり、さらなるインフレにつながる可能性もあるという。
また、給与の増額は生産性と比例しているべきだが、統計局の発表によると、昨年第4四半期の労働生産性は2.3%減少、1時間あたりの労働価値は前年の42リンギから41リンギに減少しており、生産性向上のための時間がさらに必要だとした。そのため、最低賃金の引き上げの開始は、今年末にすべきだと強調した。
イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は先月、5月1日付けで最低賃金を1,500リンギに引き上げると発表したが、産業界からは時期尚早との声も多く、実施直前になっても政令や細則などが発表されていないことから開始延期を求める声が高まっている。
(ザ・スター、4月18日)