マレーシア雇用法Employment Act1955 基礎知識Q&A

本記事では、マレーシアでの労働法にあたる雇用法 Employment Act 1955の概要を紹介しています。ローカルマレーシア人を一人でも雇用する企業で人事・労務に携わる方が知っておきたい必須知識をQ&A形式でまとめました。

目次

①雇用法Employment Act1955の対象者と賃金

Q:マレーシアで、日本の労働法にあたるものは?

マレーシアでは雇用に関わる法令は主に3つあります。

  • 雇用法1955および関連規則 Employment Act 1955
  • 労使関係法 Industrial Relations Act 1967
  • 労働組合法 Trade Union Act 1959

雇用法1955には休暇・契約やレイオフについてなど、就業規則に書かれているような項目が規定されています。

Q:マレーシアに滞在して働く日本人には、マレーシア雇用法は適用されるか?

雇用法の対象者は月給が2000リンギット以下の労働者です。肉体労働者、ドライバーは賃金に関係なく雇用法が適用されます。
賃金が RM2,001より多い労働者:会社の就業規則・雇用契約が優先されます。また、雇用法はマレーシアでの就労の最低のコンディションと言えます。

Q:適応範囲の2000リンギットには何が含まれる?

「賃金(wages)」とは、現金で支払われる基本賃金、および雇用契約に基づいて被雇用者による仕事に対して与えられる、あらゆる支払いを指します。雇用法2条に詳しく定められています。以下は含まれません。

  • 住宅費、食費、光熱費、水道代、医療費、あらゆる交通利用に対する手当
  • 残業代
  • 年金、定年退職基金、賞与
  • 解雇もしくは退職にあたっての何らかの特別手当
  • 被雇用者の福利を目的とした基金もしくは制度に基づく手当

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②マレーシアでの休暇・欠勤

Q:マレーシアでの病気休暇はどのような制度?

年次有給休暇とは別で病気休暇が取得可能です。医師の証明書Medical Certificateを提出することで、入院の必要がない場合

  • 勤続年数2年未満→14日間
  • 2年以上5年未満→18日間
  • 5年以上→22日間

取得ができます。

証明書が提出できなかったり、48時間以内に連絡しなかった場合は無断欠勤扱いとなります。

Q:入院する場合の病気休暇の日数は?

入院が必要な場合、上記の日数を含めて最大60日間取得可能です。

Q:マレーシアでの有給休暇の日数は?

こちらもEmployment Act1955で決まりがあります。

勤続年数2年未満  → 8日間
2年以上5年未満 → 12日間
5年以上 → 16日間
取得できます。

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③マレーシアの従業員の勤務態度・成績

Q:勤務態度が悪い従業員、具体的には?

遅刻が多い、無断欠勤を繰り返す、連休明けに必ず休む、勤務態度が悪いなどいわゆる「働かない従業員」を抱えていると、日系企業の皆様からよく相談があります。

Q:勤務態度が悪い従業員にどのように対応できる?

勤務評価を賞与や昇給に反映することができます。マレーシアの雇用法では、昇給や賞与は原則会社主導で決めることができます。このため、成績が悪い従業員に対して賞与を減額するよう対応しても問題ありません。(※雇用契約書にボーナスに対して記載がある場合、それにしたがって支給が必要です)

Q:勤務態度が悪い従業員を減給することはできる?

マレーシアの雇用法では、減給を従業員の同意なしに行うことは雇用契約違反となります。従業員が自主退職し、その後会社から誘導解雇されたと労働局に告発する場合があります。マレーシアでは従業員は会社を辞めた後に60日間、会社を不当解雇で訴えることができますので、会社側は退職後も注意が必要です。

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④マレーシアでの解雇

Q:勤務態度が悪い従業員、賞与や昇給へ反映させても改善しない場合どうする?

改善を求めるよう、ワーニングレターを出して対応します。何度か改善の機会を与えても改善しない場合、最終的に会社の判断で解雇にもっていくことができます。

Q:マレーシアでは会社主導で解雇はできる?

マレーシアでは解雇が会社が主導で行える主な手段となります。日本では処罰を与える場合、減給・降格・解雇の順に厳しくなりますが、マレーシアでは減給するには原則従業員の同意が必要となるため、現実的ではありません。

Q:解雇は具体的にどんな風に進めていくか?

マレーシアは慣習法の国です。過去の判例に則って対応する必要があります。会社側は従業員が解雇に値するほど悪いことをしたと証明しなければなりません。ワーニングレターを何度か出し、プロセスにしたがって行います。

このプロセスについては、こちらの記事に詳細があり、オンライン講座では事例を交えてお伝えしています。

Q:従業員の不正が発覚した時、どんな対応をするべきか?

毅然とした態度で対応することが必要です。必要な場合は、ポリスレポートを出して記録を残します。

Q:内部不正が発覚した場合は、会社は従業員をすぐ解雇できる?

雇用契約違反が証明できれば可能です。会社は、雇用契約違反かどうかを判断するために、2週間従業員を停職処分にすることができます。その間に不正が証明できれば、停職にした2週間は無給休暇扱いが可能です。

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⑤マレーシアでの祝祭日と時間外労働

Q:祝祭日に稼働して休日を振り返る時に注意することは?

祝日の振替には注意が必要です。マレーシアでは通常の祝日と、州の祝日があります。マレーシアの雇用法では、雇用主は最低でも11日間の祝祭日を支給する義務があります。このうち定められた5日の祝日は振替が不可となります。この他の6日の祝日については、年度が始まる前に会社は従業員に公表する必要があり、会社と従業員の合意のもとづいて別の日に変更することができます。

Q:振替がきかない祝日に会社に来たり工場を稼働させるには?

会社側は従業員に強制させず、任意で募るようにし、定められた割増賃金も支払う必要があります。

Q:日曜日に稼働する時の賃金レートは?

日曜日に通常の労働時間働いた場合は、月給制の場合は通常の賃金分プラスして1日分の賃金を支払います。ただし、日曜日に残業をした場合は通常の2倍以上のレートで支払う必要があります。平日に残業した場合ともレートが異なります。賃金レートについて詳細は、Employment Act 第60条で定められております。

Q:マレーシアでは残業時間については法令上で定められている?

Employment Act第60条で、1日12時間以上の労働は禁止とされています。

参考記事

Employment Act 1955はマレーシアでの労務管理に必須

本記事の内容は、マレーシアでマネジメントに携わる方が最低限知っておきたい内容をピックアップしております。実際の問題解決の例など、実践的な内容に興味がある方は、オンライン講座、またはスポットコンサルティングでお話しております。

本記事が、マレーシアで人事・労務に関係する方のご参考に慣れば幸いです。