外国人宿舎がクラスター発生源、劣悪な環境が原因か?

新型コロナウイルス「Covid-19」の感染第三波が起きているマレーシアだが、この第三波においては外国人が多数を占める労働者用の社員寮がクラスターの発生源となっている。

最近ではセランゴール州にある世界トップのゴム手袋メーカー、トップ・グローブの外国人労働者社員寮で大規模なクラスターが発生。28カ所ある工場が一時閉鎖される騒ぎとなった。同社工場の労働者のうち陽性反応が出た者は実に5千人以上に上った。

各地でも大量の外国人労働者を抱える社員寮を中心にクラスターが次々と発生。事実上のロックダウンである強化行動制限令(EMCO)に指定されており、改めて社員寮の住宅環境が問題視されている。

多くの外国人労働者向け社員寮の劣悪さについては前々から問題視されており、「1990年労働者住宅最低基準法」が2019年に改正され、罰則が1人当たり5万リンギに厳格化された。今年9月に発行したが、来年3月まで猶予期間が設けられることになっている。しかし10月末時点で遵守率は9%に満たず、期限に間に合うのかどうか懸念されるという。

改正法では罰則が強化されたほか、ベッドサイズは1.7平方メートル以上で、二段ベッドの場合はベッドとベッドの間のスペースを0.7メートル以上空けること、宿舎が寮でない場合は3.6平方メートル以上、寮の場合には1人当たりの睡眠スペースは3平方メートル以上、浴室とトイレ1カ所あたりの人数は寮でない場合は6人、寮の場合では15人——といった規定が盛り込まれた。

M.サラバナン人的資源相は、10月31日時点でマレーシアで合法的に働く約160万人の外国人労働者のうち14万3,587人、率にして8.83%分の宿泊証明書の申請しか受理しておらず、残り140万人、率にして91.1%はいまだ法律に準拠していないと述べ懸念を示した。

シンガポールの「ストレーツ・タイムズ」が取材したトップ・グローブのある労働者は「各部屋には約8人から12人の労働者がいて、私たちは1つのバスルームを共有している」と実情を語った。ロイターによると、トップ・グローブの外国人労働者が検査を受けるために密集している写真をある労働者が公表したところ解雇されたと訴えているという。

しかし外国人労働者の権利を守る活動を行なっているアンディ・ホール氏はトップ・グローブはまだいい方だと指摘、他の工場は「ぞっとするほどひどい」と評している。トップ・グローブは氷山の一角であり、まだまだ多くの労働者用宿舎がトップ・グローブ以下の劣悪な環境のままだというわけだ。

思い返せば条件付き行動制限令(CMCO)が首都圏に発令された10月初旬には、ショッピングセンターやゴルフ場の警備員や雑用スタッフなど社員寮で集団生活をおくっている外国人労働者の間でクラスターが小規模ながらも発生していた。特に警戒を要するはずのこうした社員寮の管理や行政による検査が適切に行なわれたのか、また現在はどうなっているのか検証が必要だ

(マレーシアBIZナビ編集部)