週休3日制の提案、産業界からは”競争力失う”と反対の声

スイスの国際経営開発研究所(IMD)が先ごろ発表した「2022年世界競争力年鑑(WCR)」で、マレーシアは調査対象63カ国・地域中32位となり、昨年の25位から7ランクダウンした。ビジネスの効率性、インフラ、政府の効率性で評価が大きく下がっている。
にも関わらず、これに逆行するかように政治家から週休3日制を主張する声が浮上。産業界からはマレーシアの生産性・競争力を下げるものでしかなく非現実的だとして反対の声が上がっている。
この週休3日制論は、礼拝日である金曜日で休みを確保しつつ家族全部で一緒に休めるようにというジョホール州における週末休みの議論の中でムスリム有権者に対する過度な忖度から浮上したものだが、
マレーシア中小企業(SME)協会のディン・ホンシン会長は、労働時間が短くなって生産量が減っても企業は依然として固定費はかかっており、これをカバーするために製品価格を引き上げざるを得なくなると指摘。たたでさえ新型コロナウイルス「Covid-19」対策として導入された行動制限令(MCO)によって100万人以上の外国人労働者が帰国したため人手不足に陥っており、経済全体に悪影響をもたらすことになると懸念を示した。
その上でディン氏はマレーシアがまだ途上国であり、自動化のレベルは週休3日制を導入している先進国のレベルに達していないと指摘。マレーシアは生産性の低さと労働問題に直面しており週休3日制を導入することは不可能だとし、無理に導入すれば経済的に生き残ることができないだろうと述べた。
週休3日制はジョホール州の週末休み見直しを受けてノー・ラシダー・イスマイル州議会議員が提案したもので、休みを1日増やす分を月ー木の労働時間延長でカバーすることを提起した。
マレーシア労働組合会議(MTUC)のエフェンディ・アブドル・ガニ副議長は、週休3日制の実施それぞれの産業セクターの勤務内容しだいであるとし、雇用主、従業員、政府の間で話し合いを行って同意する必要があると指摘。労働環境が異なる欧州諸国と比較するのではなく、まずは近隣諸国と共に実行可能性調査を行う必要があるとした。
一方、政府契約労働者ネットワーク(JPKK)のシヴァランジャニ書記は、問題が週休日数にあるのではなく週労働時間にあるとし、週休2日制で週35時間労働を提案していると述べた。
マレーシア華人商工会議所(中華工商聯合会、ACCCIM)ロー・キエンチュエン会頭は、週休3日制の前に国の生産性と競争力を向上させる必要があると指摘。雇用法が改正されたことで近く週労働時間が45時間に短縮されるため、これ以上労働日数を減らすことは出来ないと述べた。
(マレーシアBIZナビ編集部)