不法行為に基づく解雇〜会社の雇用責任と被雇用者の処罰の関連は?

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チョン・チェックペン氏VS
スミス・ザイン・セキュリティーズ

判決日: 2001.04.30

概要:

チョン・チェックペン氏(以下C氏)は証券販売員として研修期間中。

会社は、顧客W夫人からC氏が許可なくW夫人の口座を使い株の売買を行っていたとする苦情を受け、C氏からの事情聴取なしに解雇した。

また会社は、W夫人に求められた損害賠償金をC氏に支払うよう求めたが、C氏はこれを拒否した。会社はC氏が資格がないのに取引を行い、またW夫人の同意なく、勝手に同口座を利用したものと認定。C氏が不正を行ったことを認める内容の供述書に署名させた。

一方、C氏は供述書への署名は会社に迫られて止むなく書いたものであり、株の不正売買については、W夫人の夫に脅されて行ったものだと主張。

判決:

解雇は正当

裁定内容:

(1) 試用期間中であるか正社員であるかにかかわらず、会社は解雇が正当なものであ るということを証明することなしに、社員を解雇することはできない。

(2) 証券会社において、誠実であることは販売員にとって必須の要件である。C氏が顧客の許可を得ずに顧客の口座を使って株式を売買したという不当な行為は、会社がC 氏を解雇するに足るに十分な理由である。

(3) 会社が資格を持たない社員(C氏)を雇用していたことと、C氏が不正取引を行っていたことは別個の問題である。会社が資格を持たない社員を雇用していたことで当局より罰金を科せられたとしても、それによって社員が顧客の同意を得ずに取引を行っていたことが免罪となるわけではない。

(4) C氏は、会社の圧力によって供述書を書かされたのではない。もし会社がそうした圧力をかけたとしても、C氏はこうした事態においてどう対処すべきか判っており、 簡単に署名するはずはなかった。

(5) 会社による圧力があったと仮定しても、C氏が弁償する旨の文書への署名を拒んだことは、C氏が正常な認識力を持っていたことを示している。

(6) 被告側(会社)が提出したW夫人の夫によるC氏を脅したとの告白文は受け入れ られない。

(7) 供述書の撤回を要求する文書は、供述の1カ月半後に出されているが、この要求書はC氏が後から思いついて出したものに過ぎない。撤回要求書の内容からみて、C氏が供述を撤回しなければ自己の責任問題になることに気付いたことを意味している。

(8) 社内の査問委員会が非開催であったことは不当だが、本件では法廷が正しい判断を下すことになったわけであり、非開催であったことが会社側にとって裁判における致命的なマイナス点とはいえない。

(9) C氏は会社と顧客の両方を騙したのであり、C氏はこれを認知していた。

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