人種差別的発言〜上司に暴力をふるった原告の解雇は正当か?

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アブ・バカル・ムハマッド氏
VS
マレーシア・スメルティング・コーポレーション

判決日: 2000.07.12

概要:

原告のアブ・バカル・ムハマッド氏 (以下A氏) は、大工として30年間勤務。 マネージャーに対して暴力をふるったことを理由に解雇された。

A氏の証言によるとマネージャー (以下T氏) は、A氏がある職務を拒絶したため事情を聞きにやって来たが、A氏が説明しようとするや否や、A氏に対して人種差別に値する中傷的な言葉を浴びせた。これに腹を立てたA氏はT氏に向かってガラス製のマグ及び板材を投げ つけ、ケガを追わせたという。

A氏は、上司にケガを負わせたことが事実だとしても、30 年という長期間の勤務を考慮に入れると、解雇処置は適当ではないと訴えた。一方 T氏は、中傷的な発言について一切否定。T氏がA氏の勤務態度等に関して注意を促したことが、A氏を怒らせた理由であったと主張した。

判決:

解雇は正当

裁定内容:

(1) マレーシアのように複数の民族が共生する国においては、人種にまつわる中傷的な言動を取ることは常に避けるべきである。T氏による「マレー人は怠け者だ」という発言が、その民族の感情をはなはだ傷つけることは明らかである。

(2) 各人の証言及び警察への被害届の記述内容より、T氏が中傷的な発言を行ったこ とは証明された。基本的に、どのような状況下においても、そのような発言は認められるべきではない。しかしながら、T氏の発言がA氏の暴力を正当化することはできない。

(3) A氏が長期にわたって勤務していたという事実によって、解雇処置から免除されることは有り得ない。本来なら解雇の処置が与えられるところを、勤務期間の長さによってその処置が軽減されるという状況は公平ではない。

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