会社による低い勤務評価〜誘導的解雇となりうるか?

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タンガサミー・ブラウン・ガナナユタム氏
VS
ヒューレット・パッカード

判決日: 2000.02.23

概要:

原告のタンガサミー・ブラウン・ガナナユタム氏 (以下T氏) は、技術教育スペシャリストとして雇用されていた。17年間に渡る勤務の末、会社から不当な扱いを受け続けたとして退社した。

T氏は、勤務成績評価が予想を下回るものであったこと、上司がT氏の悪口を言いふらしていたことなどを主張。長年に渡るこうした不当な扱いに、 もはや耐えられなくなったと訴え、またそのような会社側の行為は、雇用者と被雇用者間の信頼関係という、暗黙の必要条件を壊すものであると訴えた。

また、会社が精神的に快適な職場環境を作らなかったことが、T氏の神経衰弱の引きがねとなったとし、これが誘導的解雇にあたると主張した。なお以前T氏は神経衰弱のため連続1年以上の病気休暇を取り、その間の手当の金額を不服として一旦退社。産業関係法に基づいて抗議をした末、再び同会社に復帰したという経歴がある。

判決:

解雇は正当

裁定内容:

(1) 勤務成績評価はまだ暫定的なものであり、その時点で不満を理由に退職届を出す ことは時期尚早な行動である。基本的に、成績評価は上司による判断として受け止められるべきであり、評価される側が主観的に申し立てをする性質のものではない。第一に、 T氏の成績評価は常に水準を超えるものであった。

(2) T氏の上司が悪口を言ったとの証拠はなかった。T氏はこの件を人事部長に訴え、 この人事部長は本人 (T氏の上司) と直接話しをして解決することを提案したが、T氏はそれを実行しなかった。

(2) 裁判においては、訴状にある事柄のみが取り扱われる。T氏の神経衰弱が、会社からの不当な扱いによるものであったことは、訴状の中では触れられていなかった。

(4) 被雇用者が誘導的解雇を立証するには、以下の3つの条件を満たさなくてはならない。

(イ) 雇用者による契約違反、もしくはその前兆が見られたこと
(ロ) その違反行 為が被雇用者の退職を余儀なくさせる程度であったこと
(ハ) 雇用者による違反行為から長期間が経過する前に、被害者である被雇用者は雇用契約を解除すること――。

本件の場合、上記のいずれをも満たしていなかった。

(5) 会社はT氏に対して寛容であり続けた。また、T氏の勤務状況が会社から否定されたことは一度もなかった。これはT氏自らの意思による退社であり、会社による誘導的解雇ではなかった。

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