会社に損失を与えた社員への処分~会社には十分な配慮があったか?

  1. Home
  2. Knowledge Base
  3. 判例
  4. 勤務成績・態度
  5. 会社に損失を与えた社員への処分~会社には十分な配慮があったか?

ング・アーシュー氏
VS
NT コンピューターズ

判決日: 2001.06.30

概要:

ング・アーシュー氏(以下N氏)は、支店2カ所を担当する会計監査役。会社によると、N氏が担当する支店の前マネージャーによる在庫記録の操作という不正を、N氏が見落としたために、多大な損失が発生した。これにより支店2カ所が閉鎖に追い込まれたことから、結果的にN氏が担当している担当部署が必要なくなり、会社は新しい職務への配置転換をN氏に求めた。しかしN氏が承諾書への署名を拒否したため、会社はN氏を解雇した。N氏は、紛失した在庫品は前支店マネージャーが持ち去ったもので、 同マネージャーが数字が合うようにコンピューター上の記録を改ざんしていたものと主張。N氏が同支店を担当している間に発生した在庫記録の問題は、会社に報告済みだと主張した。また署名の拒否についてN氏は、配置転換の承諾書に、不正事件による損失の原因がN氏にあることを記した条項が記載されていたためと主張。会社はこうした条項の存在を否定した。

判決:

解雇は合法

裁定内容:

(1) N氏は、在職中に支店の在庫記録の問題を会社に報告していたと主張しているが、これを認めるのは困難である。N氏は在庫記録の問題点を会社に提出する週報において報告していたと証明せねばならないが、N氏はそれができなかった。

(1a) 一方、N氏は、コンピューターのパスワードが与えられていなかったことなど職務に制約があったことを理由に、不正発見ができなかったとしているが、それはN氏が解決すべき問題であり、不正が察知できないとすればそれは会計監査役であるN氏の怠慢である。

(2) 以上で示されたようにN氏は、監査業務に対する会社の対応の不備をもって不正 発見ができなかったと主張する一方、不正について会社に報告書を提出したと主張している。この2つの主張は矛盾している。

(3) N氏の職務怠慢が会社に損害を及ぼしたのは明らかである。

(4) 会社は、N氏の職務怠慢の結果として、在庫が紛失し支店が閉鎖に追い込まれた のにもかかわらず、N氏を別の職場で再雇用するオファーを出すなど寛大さを見せている。ここには会社による悪意に満ちた解雇という側面は見られない。

Was this article helpful?