会社に損失を与えた社員 〜責任範囲は適切か?

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テオ・チンポー氏
VS
レクトロン(M)

判決日:2001.05.29

概要:

テオ・チンポー氏 (以下T 氏) はゼネラル・マネージャー兼工場長。生産品目を増やしたい会社の意向を受けて、ビデオカセットテープの生産ライン設置を提案した。T 氏は事業化計画書を提出し、これに基づき会社側は事業化予算 50 万リンギを割り当てた。同社副社長は、スマーティック・メディア・テックとの間で新たな生産ライン (約 500 万香港ドル= 240万リンギ) の購入契約を締結。

この後、採算の合わないことに気 づいた会社は赤字を防ぐためにスマーティックと結んだ契約を破棄せざるを得なくなり、 スマーティックより違約金55 万 802.5リンギの支払いを求められた。会社側は粗雑な事業化計画作成の責任により T氏にプロジェクト資金 50 万リンギの弁済を求めた。

弁済を拒否したT 氏は、職能のはっきりしない相談役に降格され、会社の自動車や電話、諸手当をはく奪された。会社から T 氏へ送られた警告書は、台湾、中国、マレーシアで公表された。T 氏は T 氏の過去のいくつかの失策を認める新たな合意書への署名を迫られ、T 氏がこれを拒否すると、直ちに辞職に同意するか弁済に応じるか求められた。最終的にT 氏は「合意の下での解雇」に追い込まれた。

判決:

解雇は不当

裁定内容:

(1) T 氏は役員会に対し事業化計画に関する十分な説明を行った。会社は T 氏の情報 のみで計画実行に向け50 万リンギを投資した。もし会社が T 氏の計画書を不十分なもの だと感じていれば、会社は事前に詳細を求めるべきであった。

(2) 会社の主導で開始した計画の重責を T 氏1人に負わせるのは過大すぎる。T 氏は会社の要求に対する拒絶を示すべきだった。それがなかったため、会社に「同意の下の解雇」と認定される原因となった。

(3) 会社側は、T 氏より既存の設備で生産が可能だと説明を受けていたと主張したが、 明確な証拠は提示されなかった。加えて、会社側の主張は会社が新しい設備を導入することに同意したことへの説明にならない。

(4) 会社の T 氏に対する数々の行為は、累積的な人権侵害である。 以上のことから法廷は、T 氏の身分復帰は認められないが、その替わりに T 氏への慰謝料および遺失利益である未払い給与の支払いを会社に命令した。

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