口約束の労働条件〜不履行は誘導的解雇にあたるか?

  1. Home
  2. Knowledge Base
  3. 判例
  4. 雇用契約
  5. 口約束の労働条件〜不履行は誘導的解雇にあたるか?

パチャパン・ラットナム氏
VS
アスンタ・ホスピタル

判決日: 2000.03.03

概要:

原告パチャパン・ラットナム氏 (以下P氏) は病院の給与支払い担当者として、 900人に上る従業員の給与管理を任されていた。過度な仕事量に耐えられなくなったP氏は辞職を決意し、はるかに条件の良い別の就職口を見つけた。

P氏の後任が決まらなかった病院側は、P氏に再就任を要求。財務取締役及び人事部長と話し合いの結果、昇給及びアシスタントの提供を前提に、即勤務を開始するとの合意に達した。尚、P 氏の新しい条件に関しては、病院の総支配人の承認が必要であるとも告げられた。

しかし、再就任から2カ月半ほど経過してもその承認は下りず、給与額も以前と変わらなかった。数度に渡って問い合わせの文書を提出したにもかかわらず、なんら返答が得られなかったP氏は、最終的に退職届を提出。これは病院側の約束不履行による誘導的解雇であると訴えた。

これに対し病院側は、P氏の新給与額に関する結論は、再就任から2週間後には出されていたと主張した。その金額は話し合いで約束された数字より低いものであったが、いずれにしろこの情報はP氏には伝えられていなかった。

判決:

不当解雇

裁定内容:

(1) 状況から判断して、P氏は口頭で約束された新しい条件があって初めて、再就任を決意したことは明らかである。

(2) 病院側で行われたP氏の新条件に関する話合いの経過及び結果は、一切P氏本人 に伝えられなかった。これはあまりに不親切で非常識な行為である。一方P氏は、新条件の約束を信じて、過度の仕事量ををこなし続けていた。

(3) P氏は何度も文書を提出し、条件等に関する情報を得ようとした。しかし病院はこれに全く取り合わなかった。最終的な退職届に関しては、約束が交わされた財務取締役及び人事部長に対して、P氏により直接手渡された。にもかかわらず、2者ともP氏と話し合いの場を設けようとはしなかった。

Was this article helpful?