業績悪化を理由とした人員削減~会社の措置に悪意はないか?

  1. Home
  2. Knowledge Base
  3. 判例
  4. レイオフ・整理解雇
  5. 業績悪化を理由とした人員削減~会社の措置に悪意はないか?

イリエン・シンナパン氏
VS
デスティネーション・イースト

判決日: 2001.09.18

概要:

イリエン・シンナパン氏(以下I氏)は、旅行会社の個人旅行者担当の予約課幹部。会社は、業績悪化に伴う組織改編を実施するに当たり、余剰人員となったI氏に対し、翌日からの解雇を言い渡した。

I氏は、会社がI氏の後任を採用しているほか、I 氏より職位の低いJ氏を残留させていることからみて、会社が業績悪化を理由に悪意をもって首切りをおこなったものだと主張。会社がLIFO の原則にも違反しているとし、不当解雇を訴えた。

一方会社は、J氏が会計課の幹部であり、同じ業務の属する者を対象とする LIFOの原則は当てはまらないと反論した。

判決:

解雇は不当

裁定内容:

(1) 会社の会計報告は、会社が人員削減実施の正当性を主張しているのと対照的に、経営状態が堅調であることを示している。

(2) 会社は、J氏が会計課の所属であっても、実質的な業務が予約課幹部職と違いがなかったという事実、また管理課所属のC氏が実質的に会計業務をこなしていたという事実に対し、反証できなかった。

(3) 会社は、すべての支店で業績が悪化したといっているが、これは実際に行われた人員削減がI氏ひとりだけだったという事実を説明できない。業績が悪化したのは一時的であり、業績悪化が無期限に続くという兆候もなかった。現に数カ月後に会社の業績は回復している。

(4) 会社が、十分な経験がないにもかかわらずJ氏をI氏の上司に昇進させるなど、 偏向した扱いをしていたのは明らか。J氏は会社の業績が良くない時期にさえ昇進していた。被雇用者の昇進は人件費支出の増大を招くことであり、会社が主張の拠り所とす る経営難があったとの主張には疑問がある。

(5) 会社は、証拠や証言からみて LIFOの原則を実践していない。

(6) 会社の組織再編は、誠意をもって実施されたとはいい難く、むしろI氏を排除し J氏を残すために行われたというべきである。

(7) 人員削減を行う前に雇用者は、被雇用者に対し事前の通告を行う義務があるが、 今回のような慌ただしい措置は悪意に基づく。解雇に先立つ調査委員会などが開かれた 形跡はない。前日の解雇言い渡しは、猶予期間として短すぎる。

(8) 会社は、連邦憲法5条で保証されている地位の保全について尊重していない。I氏のみを対象とした人員削減は過酷であり、不当である。

Was this article helpful?