権力闘争にかかわる実質的解雇〜命令違反を理由だと証明できるか?

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イー・テウセン氏
VS
クリエイティブ・オフセット・プリンティング

判決日: 2001.01.08

概要:

イー・テウセン氏 (以下E氏)は、人事兼管理担当役員。98年1月5日行われた会議の中で社長は、シンガポール人副社長の労働許可の延長が出入国管理局によって却下されたことに関連し、労働許可取得に関わっていたジェネラルマネージャー(GM) (退職済み)の「組織改編」の名を借りた降格人事を発表。

直接この件を担当していたE氏は、社長と前GMの権力闘争に巻き込まれたことに怒りを表明し、社長の決定に激しく反対し、非難の声を浴びせた。

会社は2日後、市況の悪化にともなう組織改編と称し、 E氏を余剰人員として解雇を通知。解雇に際して

(1)マネージメントの合理的な命令に違反した
(2)社長の指示に逆らい、その権限を無視した
(3)副社長の労働許可延 長手続き状況に関する報告を怠った
(4)誤った訴えにより、社長に対する尊敬を欠き、 社長の名誉を傷つけた
(5)雇用者・被雇用者間の信頼を損ね、マネージメント側のE氏に対する信頼を損ねた
(6)顧客や取引先に対して社長に対する誤った不平を言い触らした

との罪状も解雇理由に挙げた。

判決:

解雇は不当

裁定内容:

(1) 市況の悪化にともなう組織改編により余剰人員ができたという確かな証拠は見当たらない。

(2) 1998年1月5日の会議におけるE氏の不適切な言動に対する処罰としては、解雇は重すぎる。

(3) E氏は、副社長の労働許可延長申請が却下されたことについての批判は受けていない。E氏が前 GM の指示に従って申請書類に副社長のポジション名を「マネージャー」と誤って書いたため、マレーシア人でも担当可能という理由で却下されたもの。この労働許可取得の失敗は、単なる書類上の誤りであって、E氏が不許可を誘導したのではない。

(4) E氏は、社長の労働許可延長の失敗について、見当違いな批判にさらされたとい える。

(5) E氏が、労使間の相互信頼を損ねたとの証拠は見当たらない。

(6) E氏が、顧客に対して社長に関する悪口を言い触らしていたとされることについては、いかなる目撃者も招致されておらず、事実とは認定できない。

(7) 会議におけるE氏の態度に問題がないわけではない。語気を荒げたのはE氏が自分の身の潔白を主張するためだったとはいうものの、E氏は前GMと社長間の確執があることに気付いていた。そういう状況にあるならば、E氏は少なくとも労働許可延長が却下されたことなどの重大問題について社長に逐次報告して、不信感を取り除くための手段をとるべきであった。

(7a) E氏は、E氏が社長の名誉を傷つけようと画策し、また前GMと結託しているとの猜疑心を社長に抱かせ、E氏を解雇するように仕向けた。よってE氏に支払われるべき慰謝料は50%減額される。

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