試用期間の勤務成績不良〜改善に向けた猶予は十分か?

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ロザーナ・モハメド・サザリ氏
VS
アスンタ・ホスピタル

判決日: 2001.05.02

概要:

ロザーナ・モハメド・サザリ氏 (以下R氏) は、財務マネージャーとして試用期間中の身だった。R氏の勤務成績を評価した上司よりクレジット・コントロール・マ ネージャー(CCM)に転属するよう要請されたことから、R氏はまもなく試用期間が終わって、CCM への転属の辞令が出るものと思っていた。しかし会社は2カ月後、R氏の勤務成績の不良を理由に雇用契約打ち切りを通達した。

会社は、R氏がCCMに配置転換された後も試用期間は続いていたと主張。R氏の勤務成績は期待を下回っており、会社は必要とされる
▽批評
▽警告
▽カウンセリング
をR氏に施し、十分な改善期間を与 えていたと主張した。なお会社は、R氏の犯した問題点として、患者記録の紛失や企業顧客に対する請求書未発送など5項目を示した。

判決:

解雇は不当

裁定内容:

(1) 被雇用者の解雇に当たっては、雇用者が被雇用者の勤務成績不良に対する警告を行い、かつ十分な改善に要する時間を与えたにもかかわらず改善がみられないことが前提となる。

(2) 警告書に関しては、それが被雇用者が解雇される以前に書かれなければならない。

(3) 警告書には、上司によるR氏の勤務成績に対する不満が書かれているが、それは いつまでにどう改善しなければ解雇されるのかといった、十分に具体的で最終的な通告であったとはいえず、解雇という最終手段に直結するものではない。

(4~5) 被雇用者が、勤務成績不良により警告を受けた時点から、現実的な猶予期間を与えられるべきだが、本件では、R氏に与えられた改善に要する時間が現実的でない。

(6) R氏が財務マネージャーの職を解かれるまでの4カ月間に、会社よりR氏に対する警告やカウンセリングがあったという証拠はない。にもかかわらず、R氏が CCM に転属となった後の短期間のうちにR氏の勤務成績への批判がおこっている。財務マネー ジャー時の勤務成績が良好であったというR氏の主張は覆されていない。

(7) 患者記録が紛失した件について、R氏単独の責任を問うことはできない。

(8) 企業顧客への医療費請求書発送を怠ったという件については、同件がR氏が就任する前からすでに起っていたことであり、会社側の怠慢であることは明らかである。

(9~ 10) 資産管理レポートによると、会社の資産が多いためR氏単独での管理は困難である。会社がR氏に責任を負わせることはできない。同様に、貸し付けにかかわる企業顧客のクレームについても、R氏には単独での責任はない。

(11) 人事課マネージャーは、同社役員がCCM への転属についてR氏を説得するよう 指示され、またその後院長よりR氏を解雇するよう指示されたと証言している。

(12) これらの点から明らかなように、R氏は会社の悪意ある解雇の犠牲になったものである。

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