退社の勧告および休暇取得の勧告〜誘導的解雇とみなされるか?

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アブ・ハシム・アブ・バカル氏
VS
サンボン・デベロップメント

判決日: 2000.02.02

概要:

部長の立場にあった原告アブ・ハシム・アブ・バカル氏 (以下A氏) は3年間の勤務の後、会社による一連の言動がA氏を退社に導くものであったとして、誘導的解雇の不当性を訴えた。A氏の採用に関する任命書が発行されたのが 1995年4月20日、その契約内容が承認されたのは、それからおよそ1カ月半後の6月1日だった。

A氏は、 この間の5月分給与が支給されなかったと主張。

一方会社側は、A 氏の雇用開始が6月1日と認識していたと反論した。

またA氏の証言によると、車内での社長との会話の中で、当該支店が閉鎖される可能性があるとして、別の就職口を見つけるように勧められた。

それに対して会社側は、A氏が株で損をしたことから非常に落ち込んでいたため、しばらく有給休暇を取ることを勧めただけであって、A氏の退社及び支店閉鎖にまつわ る発言は一切行っていないと主張。

なおA氏は、長期休暇中に車をいったん会社へ返却するよう指示を受けたことが、暗にA氏を退社へ導く行為であったと主張している。

判決:

解雇は正当

裁定内容:

(1) 雇用契約書の中には、雇用開始日に関する記述は無かった。また、A氏はそれから3年間経った今になって初めて、この件に関して異議を申し立てていることから、誘導的解雇の原因として意図的に持ち出したものであると判断できる。

(2) A氏が非常に落ち込んでいたことから、社長が長期休暇を取るように勧めたことは理解できる。A氏自身も、退社を勧められたのではなく、別の就職口が見つかるまで 給与は支給されると言われただけであったと証言した。いずれにしろ、たとえ社長の発言を、退社を促すものであるとA氏が解釈したとしても、会社側の提案に異議を申し立てることなく従うことは、結局自らの意思による行動であるとみなされる。誘導的解雇を立証するためには、会社側の措置に強制・脅迫・詐欺などの要素が含まれていなくてはならない。

(3) 休暇中の社用車の扱いに関してはさまざまな解釈がなしうる。本件の場合、会社の方針として、休暇中の被雇用者は社用車を会社へ返却しなくてはならないとの旨の社内回覧があった。従ってA氏の主張は却下。以上から、A氏の退社は自らの意思によるものと判断される。

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