雇用契約の解除〜契約か常勤かによる区別は?

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ワハブ・トゥアン・イドリス氏
VS
カシオ(マレーシア)

判決日: 2001.05.17

概要:

ワハブ・トゥアン・イドリス氏 (以下W氏) と妻は、会社の人事課マネージャーによって社員寮の管理を任された。その後会社は、これ以上彼らを必要としないとして雇用契約を解除。雇用契約に従って1カ月の猶予を与えた。

W氏と妻は、以下のように常勤社員と同じ条件を享受しており、こうしたことが常勤社員として雇用された証拠であると主張。

▽諸手当およびボーナスを受給
▽会社の施設の無償利用
▽交通費・医療費などの補助
▽有給休暇

一方的に解雇されたのは不当だとした。

雇用契約を交わした当時の人事課マネージャー (J氏) も予算不足のために契約ベースとなったものの、W氏夫妻を常勤として雇用する意図があったと証言した。

判決:

契約解除は合法

裁定内容:

(1) 会社がW氏夫妻に社員寮管理業務を一任しており、業務に必要だという理由から用具や施設の利用を認めていたのは明らか。

(2) W氏夫妻およびJ氏は、W氏夫妻が休みをとる場合にJ氏の許可を得る必要があったとして、会社による束縛があったことを強調しているが、休暇届は現存しておらず、一連の証言は疑わしい。

(3) W氏は社員寮の管理の仕事と自らの運転業務を兼務しており、会社もW氏に束縛を与えていなかった。もしW氏が常勤社員であれば、会社の規則で禁止されている兼業は許されなかっただろう。

(4) 雇用通知書の冒頭の記述によると、W氏夫妻は、常勤社員と違って夫婦セットで雇用され、毎日にわたる24 時間勤務を命ぜられている。W氏夫妻は常勤社員のように定時の出勤退社の必要はなく、契約社員であることは疑いようがない。

(5) W氏の給与支払日を常勤社員と同じくすることを明記した条文は雇用通知書にある。また、もしW氏が常勤社員であれば、従業員積立基金(EPF)や社会保険機構 (SOCSO) の支払い分が給与から減額されていなければならないが、それは行われていない。

(6) 1950 年証拠法91、92 条によれば、開廷前において書面に凝縮された雇用契約の内容に反論する口頭による証言は認定されない。W氏側の証人であるJ氏の証言は、雇用契約を修正、あるいは雇用契約成立時に含まれなかった新たな項目を付け加えようと するものである。

(7) W氏が常勤社員でないということになれば、W氏は自動的に 1967年産業関係法の適用外となる。よって、W氏が同法に基づく地位復帰を求めることはできない。W氏は合法的に、雇用通知書の条件に従って契約解除されたのであり、会社側の不当解雇とはいえない。

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