200億リンギ規模の景気対策発表、3つの戦略を実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 
マハティール・モハマド暫定首相は27日、世界経済の動向や新型コロナウイルス「Covidー19」の感染拡大の影響を緩和させるため、200億リンギ規模の景気対策を発表した。

 景気対策を講じることで今年の国内総生産(GDP)成長率は3.2ー4.2%を達成できる見込み。財政赤字はGDP比で3.2%とすることを目標をしていたが、3.4%に上昇することが予想されている。

 ▽新型コロナウイルスの影響緩和▽国民を中心とした経済成長の促進▽質の高い投資の促進ーー3つの戦略に基づき、マレーシア経済が強固な基盤を維持するために様々な対策が策定された。

 新型コロナウイルス対策では、観光セクターにおける資金繰りの問題の改善のために、所得税の支払い猶予期間を設け、ホテルや旅行代理店、航空会社、ショッピングモールなどでの電気料金を15%割り引く。またタクシー運転手や観光バス運転手、ツアーガイドに一時金として600リンギを支給する。人材開発や国内観光産業振興のために5億リンギを割り当て、マレーシア国民に100リンギまでの国内便、鉄道、ホテル宿泊で使用出来るデジタル商品券を配布する。

 経済成長の促進のために、従業員積立基金(EPF)の積立金の拠出割合を4月1日から12月31日まで現行の給与の11%から7%へと4%減額し、個人消費を促すことで100億リンギ相当の経済効果を見込んでいる。生活費支援計画「BSH」受給者への給付金(200リンギ)支給時期を5月から3月に早め、5月にはさらに全ての受給対象者に100リンギを追加支給する。また農村を中心に20億リンギを割り当て小規模な補修・改修などのインフラ整備プロジェクトを実施する。

 質の高い投資の促進をさせるためには、エネルギー・科学・技術・環境・気候変動省が1,400メガワットの太陽光発電事業の入札を実施し、50億リンギの民間投資を誘致し、2万5,000人分の雇用を創出する。マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は、国家光ファイバー化・接続性計画(NFCP)の下で30億リンギ規模の事業を実施する。政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)などの政府系企業が130億リンギを投資して、LED街灯の導入などを実施する。その他▽情報通信技術(ICT)を含む機械及び設備に対する購入費用について2年間の資本控除▽中央銀行バンク・ネガラが中小企業(SME)を対象としたオートメーション及びデジタル化の促進のための3.75%の特別融資を実施▽改装や改築費として最大で30万リンギの税控除ーーなどが盛り込まれた。