命令不服従で解雇、関連会社の業務拒否は合法だったか?

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  • 原告:ナディア・アブドル・ジャミル氏
  • 被告:サマディ・リトリーツ
  • 判決日:2017年11月1日

概要

ナディア・アブドル・ジャミル氏(以下、N氏)は、2012年3月5日付けでマーケティング&公報担当マネジャーとしてイベント会社のサマディ・リトリーツ社(以下、会社)に雇用された。

N氏は入社後、会社役員で共同経営者であるC氏が手掛ける他のビジネスに関する業務も手掛けはじめたが、その後、N氏はそれらのビジネスが本来の職務範囲から逸脱しているとして拒否した。これに関連して双方で電子メールによるやり取りが何度か繰り返されたが、N氏は会社トップから命令不服従を指摘されて辞職を求められ、みなし解雇にあたると判断し会社を去って裁判に訴え出た。

N氏によると、直接的に会社とN氏の対立が表面化したのは2012年9月21日で、C氏は電子メールで「ハロー・クイーン」のチケットデザインをN氏に依頼したが、N氏は「他にも多くのプロジェクトを抱えているため時間が欲しい」と答え命令に従わなかった。

これに対してC氏はN氏の態度に失望したと告げ、会社の最高経営責任者(CEO)であるA氏もC氏に同調し、命令に従うのが嫌であれば辞めるしかないだろうと伝えた。

N氏は9月30日A氏に電子メールで回答し、会社に残りたいので辞めるべきとの発言を撤回して欲しいと要請した。しかしA氏は翌10月1日、C氏と人事部長を伴ってN氏と会い、N氏に辞職を求めた。このためN氏は同日付けでみなし解雇に遭ったとして会社を去った。

裁判では、上司であるC氏が命じた職務についてN氏に拒否する権利があったか、もしそうでなかった場合、N氏は職務をボイコットしたことになるのか——の2点が争点となった。

判決

みなし解雇に当たらない

裁定内容

判決に至るまでの主なポイントは次の通り。 

(1)N氏は当初、C氏が経営する会社のいち従業員として、C氏から命じられた新たな職務ついて反対していなかった。

(2)他のN氏が命じられた職務に関わるビジネスは、すべて会社の傘下事業であった。N氏はマネジャーとしてこれらの関連会社の事業についても業務範囲になると考えられる。

(3)N氏が会社と取り交した雇用契約書にはこうした点について一切触れていないが、N氏は一定期間、C氏の指示通りにこれらの関連会社のマーケティング&公報関連の業務をこなしている。この事実は明らかにN氏が会社の業務を越えて関連会社の業務の責任を認識していたことを意味する。

(4)もしC氏に命じられた関連会社における業務について異議があったのであれば、N氏は最初の週のうちに異議を申し立てるべきであった。しかしそうしなかったということは、N氏がC氏の指示を受け入れていたことを意味する。

(5)「ハロー・クイーン」のチケットデザインをC氏に命じられた際、C氏は当日中にデザインを完成させて欲しいと伝えたにも関わらず、N氏は実際にはフリーデザイナーの名前を挙げて彼に任せるよう主張し命令を拒否した。これは仕事の優先順位を無視するもので、無責任な行為である。

(6)N氏がみなし解雇が行なわれたとみなしている時期は、N氏が最初にみなし解雇を訴えた時から6週間も前であった。従ってN氏は6週間もN氏が主張するところの「みなし解雇」の状態のまま勤務を続けていたことになる。N氏はすでにみなし解雇を訴える権利を失ってしまっていたと考えられる。

(7)以上の状況から見てN氏には命令不服従行為があったと判断される。みなし解雇に遭ったとのN氏の訴えは認められない。

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