燃料抜き取り疑惑の運転手、処分保留のまま放置は不当か

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  • 原告:M.シヴァリンガム・ムニアンディ氏
  • 被告:ロードWBKホウレージ
  • 判決日:2017年11月14日

概要

M.シヴァリンガム・ムニアンディ氏(以下、S氏)は、2008年7月1日付けで輸送会社に石油運搬タンク車の運転手として雇用された。シェル・マレーシアからの依頼によるバガン・ルア—クアラ・ペルリス間の石油運搬を行なう仕事だった。
勤務開始から4年半が経った2012年12月、S氏がタンク車からのディーゼル油の抜き取りを容認しているとの訴えが外部から寄せられたことから停職処分となった。S氏は会社から追って指示があるまで無期限の自宅待機を命じられ、しばらくして雑用係としての勤務再開をオファーされた。S氏はこれを拒否した。
その後も会社は処分保留のままS氏を職場復帰させずに時が過ぎ、S氏はみなし解雇に当たるとして会社を去り、裁判に訴え出た。
S氏の不正行為を口頭で会社に通報したのは、クライアントであるシェル・マレーシアの社員のK氏であり、それによると2012年12月1日午前10時ごろ、S氏が運転するタンク車を南北高速道路のグルン・サービスエリアで目撃した。S氏はタンク車の横に立ってタバコを吸っており、正体不明の2人組がタンク車からディーゼルを抜き取ってプラスチック容器に移していた。S氏はそれを知りながら何もしなかった。
通報を受けた会社は、翌12月2日にS氏に7日間の停職処分を言い渡し、その後12月10日付けの文書で無期停職に切り替えた。これに合わせてシェル・マレーシアも12月24日付けでS氏の敷地への立ち入りを禁じる通達を出した。
S氏はN氏を見かけたことは認めたものの指摘されるような不正行為はなかったと全面否定。停職処分になった後に長い間、復職をみとめられないまま自宅待機となった上、雇用契約にない雑用係として職場復帰させるのは不当でありみなし解雇にあたると主張した。
裁判では、S氏がみなし解雇に遭ったのか、もしそうであった場合、S氏の解雇が正当だったかどうか——の2点が争点となった。

判決

みなし解雇

裁定内容

判決に至るまでの主なポイントは次の通り。 

(1)会社側がS氏に対する処分を行なうに当たっての唯一の根拠は、S氏がディーゼル油の抜き取りを黙認していたという目撃証言によるものだが、目撃証言を行なったK氏はシェル・マレーシアの社員であって、輸送会社の社員ではなかった。

(2)またK氏は自身の職務がコントラクターの運転手を監視することでなく、またS氏を一定期間監視していたという訳でもなかった。

(3)K氏はまた、具体的にS氏が不正行為を行なったとの証拠は提示できず、しかもS氏の不正行為関与を正式に文書で訴え出たのは目撃したと主張する日から3週間も経った後だった。

(4)会社はS氏が不正行為を行なった疑いがあるとの理由で停職処分としたが、その後も不正の証拠を示すことができなかった。

(5)会社はS氏を停職処分としたまま放っておいた。従業員に長い間仕事を与えないという会社の行為は労使間の雇用契約を破るものである。

(6)その上で会社は、S氏に運転手ではない雑用係としての職場復帰をオファーしている。会社はシェル・マレーシアの敷地に立ち入り禁止となったため輸送業務に就けないためと説明しているが、容認できない。

(7)以上の状況から見てS氏はみなし解雇に遭ったと判断される。

(8)解雇当時のS氏の年齢は57歳で、当時の定年退職年齢の55歳を超えていた。本件に関しては職場復帰は適切だとはいえず、会社側に慰謝料の支払いは求めない。

(9)S氏の解雇時の月収は固定給リンギプラス歩合給で、平均2,500リンギだった。解雇日の2013年1月11日から裁判の結審日まで24カ月以上あるから、未払い給与は24カ月分の6万リンギとなる。S氏はすぐに別の仕事についていることから、50%を減額し3万リンギと算出する。会社はこれを30日以内に支払わなければならない。

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