マレーシア雇用法Employment Act 1955とその関連規則

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マレーシア雇用法1955 (Employment Act 1955) とは?

雇用法1955 (Employment Act 1955)は西マレーシアにおいて最も基本となる労働関連法であり、従業員の最低限の労働基準を定める法律です。 東マレーシア(サバ州およびサラワク州)には独自の労働法が存在します。

本法の対象は(原則) 給与が2,000RM以下の者で、非対象者は会社との雇用契約や就業規則が優先されますが、雇用法を踏まえ、独自の規定を検討する事が一般的な為、マレーシアで従業員のマネジメントに関わる方が雇用法を理解する事は重要と言えます。

マレーシア雇用法(Employment Act 1955) の規定内容

  • 雇用主と従業員双方の権利/義務
  • 雇用契約書/就業規則で最低限規定すべき基準

その他のマレーシアでの主要雇用関連法

  • 労使関係法 Industrial Relations Act 1967
  • 労働組合法 Trade Union Act 1959

など

サバ州およびサワラク州については同法が適用されず、州の労働条例で類似の規定が設けられている

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マレーシア雇用法(Employment Act 1955)の適用者

賃金 RM2,000以下の労働者雇用法の適用者 ※肉体労働者、ドライバーは賃金に関係なく雇用法が適用される

賃金が RM2,000より多い労働者会社の就業規則・雇用契約が優先

マレーシア雇用法(Employment Act 1955)運用の注意点

マレーシアはイギリスに習った慣習法(common law)の国である。
法律上に載っていないことは、過去の判例から導き出された原則・規範が効力を持つ。
特に、懲戒処分や組織改編を行う場合には、慣習に注意が必要。

※法律だけ見ると、解雇やその他の懲戒処分が会社主導で簡単に行えそうな場合でも注意が必要
→どの程度の違反に、どのように対応すれば、正当な対応と見なされるかは別問題
→必ず慣習を踏まえなければいけない

関連記事:マレーシアで成績不良や不正行為に対して処分を下す際の留意点

契約解除(解雇)に関して

契約解除(解雇)の予告期間  Employment Act 1955 第12条

解雇の予告期間は契約書に明記。記述がない場合は下記に従う。予告期間は雇用者も被雇用者も共に同じ。
被雇用者の勤務期間と必要な事前通知日数

  • 2年未満     → 4週間前の通知
  • 2年以上5年未満  → 6週間前の通知
  • 5年以上     → 8週間前の通知

予告なしの契約解除(解雇)Employment Act 1955 第13条

雇用者も非雇用者も、双方通知期間(の不足)分の賃金を賠償金として支払えば、予告なしで契約解除が可能。
雇用者も非雇用者も、相手が雇用契約違反の場合には、予告なしに雇用契約を解除できる。


特別な理由の契約解除(解雇)
停職 Employment Act 1955 第14条

  • 調査により契約違反が立証された場合、雇用者は以下を実施できる
    1.予告なしの契約解除
    2.降格
    3.解雇より軽微な処罰、もしくは無給の停職(2週間まで)
  • 停職 第14条
    1.雇用契約違反を起こしたとき
    2.契約違反の調査を行うとき
    両ケースともに、2週間までの停職が行える。

関連記事:無断欠勤は何日以上で解雇の対象?

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福利厚生病気休暇・有休休暇・出産休暇・契約解除補償金

マレーシア雇用法で規定されていない福利厚生は、会社主導で策定可能。

病気休暇 Employment Act 1955 第60条F

被雇用者の勤務期間と付与日数(入院が必要ない場合)

  • 2年未満     → 14日間
  • 2年以上5年未満 → 18日間
  • 5年以上    → 22日間
  • 入院が必要な場合  :一律60日間

証明書(MC)が提出できない場合、48時間以内に連絡しようとしなかった場合は無断欠勤扱いになる。

年次有給休暇 Employment Act 1955 第60条E

被雇用者の勤務期間と付与日数(連測12カ月にわたる勤務に対して以下が付与される)

  • 2年未満     → 8日間
  • 2年以上5年未満 → 12日間
  • 5年以上    → 16日間

祝祭日 Employment Act 1955 第60条D

雇用主はマレーシアの11日の祝祭日を支給する義務があり、定められた5日の祝祭日以外は、振替が可能

付与義務のある祝祭日

  1. メイデー
  2. 国王記念日
  3. 建国記念日
  4. マレーシアデイ
  5. 州の王の誕生日

関連記事:祝日の稼働時マレーシア雇用法上での注意点

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出産休暇 Employment Act 1955 37条,40条,42条

出産休暇期間と手当 第37条

  • 1回の出産につき60日間以上の出産休暇が与えられる
  • 出産休暇は出産30日前から出産後30日後までとする
  • 被雇用者に5人以上の子供がいる場合、出産手当は支給されない
  • 手当額は1日当たりの通常賃金
  • 出産休暇中に契約解除を行う、いずれの雇用者は違法となる

雇用者への通知義務 第40条

被雇用者は雇用者に対して、出産予定日から遡って60日以内に、出産予定および出産休暇の日程の通知が必要。

解雇の制限 第42条

出産休暇後、出産が原因の病気を理由に欠勤を続けた場合でも、公認医師がそれを認めた場合、出産休暇終了後90日以内の解雇は不可

契約解除補償金 1980年雇用規則 第6項

被雇用者の勤務期間と付与金額

  • 2年未満     → 10日間分の賃金×勤続年数
  • 2年以上5年未満 → 15日間分の賃金×勤続年数
  • 5年以上    → 20日間分の賃金×勤続年数

※一時解雇(レイオフ)する為には、本手当てが支給されない限り、一時解雇とみなされない。

関連記事:マレーシアで整理解雇を考える前に

契約解除補償金を支払わなくてもいいケース

  • 定年による場合
  • 勤続年数12カ月の場合
  • 雇用契約違反の場合
  • 自主退職の場合

特別な理由/契約違反による契約解除における支払い 第21条

予告なしに雇用契約を解除(解雇・退社)する場合、雇用者は以下の通りの金額を被雇用者に支払わなくてはならない。

労働時間及び賃金レートに関して

賃金レート(平日・残業・休日・祝祭日) 第60条 第60条A 第60条D

月給制もしくは週給制で賃金が支払われている被雇用者が、休日に労働した場合、その日の賃金は以下の通り支払われる。
(i) 労働時間が1日の通常労働時間の半分以下の場合には、1日あたりの通常賃金の半分。
(ii) 労働時間が1日の半分の通常労働時間を超えるが、1日の通常労働時間以下の場合には、1日あたりの通常賃金。

祝祭日に労働した場合、通常の賃金に加えて、以下の通り賃金が支払われる。 被雇用者の賃金が、月給制、日給制、時給制、もしくはそれに類似した形式で支払われる場合には、通常の賃金の2日分相当。

残業時間の制限

  • いかなる理由があっても、1日12時間以上の労働は禁止(第60条A7項)
    →1日の労働時間が8時間の場合、残業時間は4時間/日
  • 月毎の残業時間の制限 104時間/月 1980年雇用(超過勤務制限)規則

通常労働時間の制限 第60条A

被雇用者は、以下の条件に基づいての労働は要求されてはならない。

  • 30分以上の休憩時間無しの、連続5時間を超える労働。 ※30分未満の労働の中断は、休憩として認められない。
  • 1日に8時間を超える労働。
  • 1週間に48時間を超える労働。
  • 休憩を含む連続10時間を超える労働。

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女性の労働時間

農業または工業に従事している女性は以下禁止 第34条

  • 22時-5時の間における労働
  • 連続する11時間休憩なしの勤務

賃金の支払いに関して

通常の賃金の支払い

  • 賃金支払い期間 第18条
    雇用契約書には、1カ月以下の賃金の支払い期間が明示されていなくてはならない。
    ※明示されていない場合、契約上1カ月とみなされる。
  • 賃金支払いの期限 第19条
    賃金の支払い期間の最終日から7日間位以内に、被雇用者に支払う。
    休日出勤、祝日出勤、残業の賃金の支払いは、次回の賃金支払い期間の最終日までに支払わなくてはならない。
    ※雇用者からの申請に基づき、労働局長の裁量にて、支払い期間が延長されることがある。
  • 契約解除における支払い 第20条
    雇用契約が解除される被雇用者の未払い分の賃金は、雇用契約解除日より前に支払われなくてはならない。

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賃金前払いの制限と控除

  • 雇用者は、被雇用者がその前月に稼いだ賃金の総額を超える前払いをしてはならない。 第22条
  • 第22条に基づいた賃金の前払い額を、賃金から差し引くことは可能。控除額は1カ月あたりの賃金の50%を超えてはならない 第24条

シフトワーカー

  • シフトワークは、連続30時間以上にわたって労働に従事しない期間を休日と見なす。第59条1A
  • シフトは新しい月が始まる前に伝えなければならず、6年間以上保管する必要がある。第59条3

関連記事:マレーシアでパートタイム従業員雇用時の注意点

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