従業員の病気やケガを理由にした契約解除 = メディカルボードアウト (Medical Board Out) の実施要件

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はじめに:メディカルボードアウトとは?

マレーシアで従業員の病気やケガを理由にした契約解除は、メディカルボードアウト (Medical Bourd Out) と呼ばれます。

病気が原因で業務に支障が〜契約解除は可能か?
という相談を受ける事が多いですが、

マレーシア雇用法 (Employment Act 1955) では、病気休暇 (MC) の付与日数および付与条件が定められていますが、メディカルボードアウトの実施要件関しては、一切明記されていません。メディカルボードアウトは 判例 に基づき、正しい手続きで実施する必要があります。

当記事では、メディカルボードアウトの実施要件を明記し、各企業での対応の参考にして頂けばと存じます。

※ 尚、メディアボードアウトは懲戒解雇と同様、判例法が適用される為、ケースバイケースで必要な対応が異なる場合がございます。もし労使問題に発展する可能性がある場合は、初期段階から弁護士や専門家へご相談上、対応していく事を推奨致します。

メディアボードアウトの実施要件

マレーシアでメディカルボードアウトを実施する為には、
以下を証明する必要があります。

① 医師の証明(医学的意見)に基づいた契約解除か?
② 当該従業員の回復見込み期間の検討がされたか?
③ 当該従業員と話合いは十分になされたか?
④ 会社側が、労使協調に則った対応をしたか?

詳細は後述をご確認下さい。

詳細: ① 医師の証明に基づいた契約解除か?

解雇の決定自体は医学的なものではないものの、会社側は医学的意見(医師の診断)を合理的な理由に、解雇の決定が出来るとされます。

逆に言えば、医師からの証明無しで、解雇の合理的理由を立証する事は不可能です。

While employers cannot be expected to be, nor is it desirable that they should set themselves up as medical experts, the decision to dismiss is not a medical question, but a question to be answered by the employer in the light of the available medical advise…

East Lindsey District Council v. Daubney [1977] IRLR 181; [1977] ICR 566

詳細: ② 当該従業員の回復見込み期間は考慮されたか?

会社側が解雇を決定する場合、「会社側の必要とする労働」と「当人の回復見込み期間」を踏まえる必要があります。

what is required is “a discussion so that the situation can be weighted up, bearing in mind the employer’s need for the work to be done and the employee’s need for time in which to recover his health.”

Spencer v. Paragon Wallpapers and Lynock Cereal Packings

Every case depends on its own circumstances. The basic question which has to be determined in every case is whether, in all the circumstances, the employer can be expected to wait any longer and, if so, how much longer?

Spencer v. Paragon Wallpapers Ltd [1976] IRLR 373, [1997] ICR 301

詳細:③ 当該従業員と話合いが十分になされたか?

たとえ医師から「業務遂行は不可」という診断が出たとしても、当人と十分な話合い無しで解雇を行なった場合、不当解雇にあたります。

会社側は「当人の意見」と「医師からの意見」の両方を検討した上で、解雇の最終的な判断を下す必要があります。

… before an employee is dismissed on the ground of ill health it is necessary that he should be consulted and the matter discussed with him…

… If the employee is not consulted, and given an opportunity to state his case, an injustice may be done…

East Lindsey District Council v. Daubney [1977] IRLR 181; [1977] ICR 566

詳細:④ 会社側が、労使協調に則った対応をしたか?

③も④の一部と言えますが、会社は労使協調に則り(= 悪意なく、善意に基づき)対応した点を証明する必要があります。  

The approach of an employer in this situation is, in our view, one to be based on those three words which we have used earlier in our judgement – sympathy, understanding and compassion.

In Lynock v. Cereal Packaging Ltd [1998] IRLR 510; [1998] ICR 670

どのような対応が労使強調に則った対応なのか」については、判例上でも具体的な説明が無い為、その状況に応じて(ケースバイケースケースで)、労使協調に則った対応が求められます。

弊社見解ではありますが、一例として、
以下のような対応が、労使協調に則った対応として挙げられるかと存じます。

① 配置転換で雇用維持を図る (可能な限りの実施を弊社では推奨)。
② *有給の長期療養休暇を付与し、病状の様子を伺う。
③初めの診断で「業務遂行不可」と診断されたが、従業員の要望に基づき、セカンドオピニオンを受ける機会を与える。
④ 有給のMC/ALを使い切り、回復見込みもはっきりしなかったが、特別条件で追加の休暇を付与し、回復に期待する。(無給でも可)

* 労働組合との労働協定(CA)がある場合は、その内容に従う。
* 雇用法の非対象者の場合は会社との雇用契約に従う。
* 雇用法の対象者は、雇用法に従い、最低60日の有給の長期療養休暇を付与。詳細はこちら

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