祝日の稼働時のマレーシアでの雇用法上の注意点

マレーシアでの祝日の稼働についてのご質問を頂きましたので、雇用法に基づく留意点をご紹介致します。
※本記事の内容は賃金が2,000リンギット以下の従業員が対象であり、賃金が2,001リンギット以上の従業員に対しては会社の就業規則が適応されます。
※振替祝日の設定が州により異なることがあります。
目次
祝祭日についての取り決め
雇用法1955 第12章 第60条D
雇用主は以下の11の祝祭日を支給する義務がある
11の公休日のうち5日は以下の通り
- 建国記念日
- 国王誕生日
- メイデー
- マレーシア・デイ
- 勤務地または被雇用者の位置する州の王の誕生日
連邦直轄地に位置する場合は連邦直轄地記念日
残りの6日の公休日については、新年度が始まる前に雇用者が公表を行う必要があるが、雇用者と被雇用者の合意のもとづいて別の日に変更することができる。
参考記事
土曜と日曜の勤務について
通常土曜日や日曜日を休みとしている会社は、就業規則で土日の出勤手当を取り決めるなど対策している場合が多い。

振替不可な祝日の稼働
5/1(祝)メイデーは稼働は可能か
→緊急時は雇用主は従業員に出勤を要請することができる
その場合通常賃金に加えて2日分相当の支払いが必要
(通常の1日分の賃金 + 2日分の賃金 =3日分の賃金)
※通常労働時間を超えての労働に対しては、通常賃金の3倍以上の支払いが必要
メイデーに出勤できる従業員を募ったところ、ローカルHR担当者よりこの日は工場を稼働出来ないと進言があったが正しいか
→雇用法で定められた5日の祝日に対しては、別の日に変更はできないが、従業員に同意を得て手当を支払えば工場を稼働しても問題ない。
出勤する従業員には、必ず同意を得ることが重要となる。
その他の祝日の稼働
5/7(祝)に稼働は可能か
→従業員と合意を得て、別日に祝日を振替可能
→または通常賃金に加えて2日分相当の支払いが可能
(通常の1日分の賃金 + 2日分の賃金 =3日分の賃金)
※通常労働時間を超えての労働に対しては、通常賃金の3倍以上の支払いが必要
土曜日の稼働
5/9(土)に稼働する場合の注意点
→土曜日(off day)出勤の場合の会社の規定に則る
日曜日の稼働
5/10(日)に稼働する場合の注意点
→月給制の場合、雇用法の規定上以下の賃金の支払いが必要
通常労働時間の半分を超え、通常労働時間以下の場合
→1日当たりの通常賃金
通常労働時間の半分以下の場合
→1日あたりの通常賃金の半分
※通常労働時間を超えての労働は、通常賃金の2倍以上の賃金
週に48時間を超える労働
5/16(土)に稼働すると週の労働時間が48時間となるが法的に問題ないか
→48時間を超えなければ問題ない
代休と有給
5/7(祝)に稼働を計画し別の日に祝日を振替えようとしたが、その日に従業員が有給申請していた
→別の日に有給の代休を与える必要がある
祝日稼働における無断欠勤
5/26(振替祝日)に手当を支払い稼働を計画したが、従業員が連絡なく無断欠勤した
→事前の了承を得なかった場合は有給祝祭日として認められず、無給休暇扱いが可能
MCO期間の振替可否
5/7など祝日に稼働する場合、MCO期間の4/28を休日として振替可能か
→人的資源省ガイドライン上NG
MCO期間中は通常勤務とみなされ、給与を全額支払う必要があるため
参考:Ministry lists employment ‘dos and don’ts’ during MCO
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