漸進的賃金制度導入で毎年賃上げの義務化を検討=経済相

 【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相は11日、連邦政府が計画している漸進的賃金制度について、給与引き上げを義務化する可能性を示唆した。


 漸進的賃金制度は低賃金の解消のために毎年給与を引き上げていく制度で、シンガポールの清掃業などで採用され、昨年は対象業種を小売・飲食業に拡大している。マレーシアでも、ラフィジ大臣が5月に導入を検討していると明らかにしていた。


 ラフィジ大臣は、安価な労働力に頼る国内経済を変えるためには痛みを伴う改革が必要だが、雇用主にとって定期的な賃上げは大きな負担となるため、反発も大きいだろうとコメント。その上で8月上旬に漸進的賃金制度についての政策文書を政府に提出する予定だとした。


 低賃金に抑えられている職種が存在することで、上位所得者と下位所得者の間での所得格差が広がっていることが漸進的賃金制度導入の背景にある。一方、エコノミストは、マレーシアは、安価な労働力を利用する近隣諸国との競争激化に直面しているため、賃金上昇には限界があると指摘している。
(マレー・メイル、7月11日)