第3四半期の求人数、前期比48%増=JACリクルートメント

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ジェイエイシー(JAC)リクルートメントは2020年7—9月の「アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向」を発表。マレーシアの求人数は前年同期比18%減少したが、前期比では48%増加したと明らかにした。
JACリクルートメント・マレーシアの大西信彰 社長によると、日系企業の求人数は68%増となった。3月の行動制限令(MCO)発令後、採用の保留、もしくは凍結をしていた企業も6月の制限緩和を境に採用活動を徐々に再開した。しかし前年同月比では減少となった。
業界別でみると、製造業で前期比は微増に留まったが、前年同期比では60%減となった。一方、ICT業界では前年同期比で16%増加し、コロナ禍でも IoT やFA(ファクトリーオートメーション)、デジタルマーケティングなどデジタル化の推進・生産性向上・効率的な市場へのアクセス等、IT人材ニーズが高い傾向が伺えた。
給与別では、7,000リンギ以上(マネジャー以上の職種) の求人数割合は、前年同期比8.7%アップし49.9%とほぼ半数となった。コロナ禍によるコスト削減の必要性、買い手市場へのシフトに伴い、ジュニアからミドル層の求人に関しては、内部昇格などで対応する一方、マネジャー以上のコア人材の採用は一部争奪戦となっている。特に市場閉塞感やSCM(サプライチェーンマネジメント)の機能不全から、新たなビジネスや市場の開発・開拓に関わるスタッフの採用ニーズが増加しており、従来の給与相場以上を提示して確保しようとする企業も多くみられた。この結果9,000リンギ(シニアマネジャー・GMクラス) 以上への求人割合が特に拡大(10.3%アップ)した。
求職者の動向としては、9月に同社が実施した「マレーシア人転職意識調査」(回答者1,538人)によると、回答者の24%がMCOが敷かれた4月以降に転職を検討し始めていることが明らかになった。転職理由としてはこれまでにあまりなかった「現職企業の経営状況の変化」が18%で3番目に浮上し、求職者の転職意識にも1位はキャリアアップ、2 位は報酬水準アップ目的と、コロナ禍の影響が色濃く出ている結果となった。日本人求職者の転職意識に大きな変化は見られないが、日本在住の求職者の場合、海外への渡航制限やビザ発給の遅滞もあり、採用が決まっても勤務開始は大幅に遅れている状況となっている。