労働者不足の深刻化、企業の売上や国の経済回復脅かす事態に

【クアラルンプール】 労働者不足が100万人以上と深刻となっており、マレーシア企業は注文を受けきれず、何十億もの売上を失っており、国の経済回復を脅かす事態にまで至っている。


 マレーシアは、国民が3D(危険、汚い、きつい、日本の3Kに相当)労働であるとしてやりたがらない工場、農園、サービス部門の仕事を外国人労働者に依存しているが、2月に外国人労働者の受け入れを再開を決定したにもかかわらず、インドネシアやバングラデシュといった労働者派遣国との交渉が長引いた上、政府の承認も手間取っており、多くの外国人労働者がいまだに入国できていない。


 規制緩和により需要が高まるにつれ、労働者不足は日々深刻化しており、業界別の不足人数は▽製造業60万人▽建設業55万人▽パーム油産業12万人▽半導体メーカー1.5万人▽医療用手袋メーカー1.2万人ーーとなっている。世界的な半導体チップ不足にも関わらず、半導体メーカーは需要に応えられておおらず、パーム油産業では、果実が未収穫のまま腐り年内に300万トンの作物が失われ、40億米ドル(170億リンギ)以上の損失を被る見通しだ。ゴム手袋業界では、労働力不足がこのまま続けば、今年は7億米ドルの収入が失われると見積もっている。


 インドネシアとバングラデシュの外交官は、「ロイター」の取材に対して、マレーシアへの労働者派遣を妨げているのは労働者の権利問題だと答えた。バングラデシュは昨年12月、マレーシアとの間で労働者派遣再開に向けた覚書を締結したが、マレーシア側が提案した雇用プロセスに問題があるとして派遣再開が遅れている。労働者負担費用の増加と借金による束縛につながる恐れがあるためだという。バングラデシュの外交筋によると、マレーシアは1年以内に20万人のバングラデシュ人労働者の受け入れを考えている模様だ。
(ザ・サン、6月14日、ロイター、6月13日)