改正雇用法の施行時期、来年1月1日に延期=人的資源相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 M.サラバナン人的資源相は26日、改正雇用法の施行時期について今年9月1日から2023年1月1日に延期すると発表した。商工会議所を含む業界関係者や利害関係者との話し合いの末に延期を決定した。


 サラバナン大臣は、マレーシア経済が未だ新型コロナウイルス「Covid-19」からの回復の途上にあることを背景に、協議を行った業界関係者から準備のための猶予期間が欲しいとの要請があったと説明。これを踏まえて人的資源省と内閣の間で協議した結果、来年1月1日まで施行を延期するということで全会一致したと述べた。


 改正雇用法については、マレーシア経営者連盟 (MEF) のサイド・フセイン会長は、新型コロナウイルス「Covid-19」から回復中の企業に負担をかける可能性があるとし、政府に施行を延期するよう要請。改正は段階的に行うべきだとし、企業を支援するための明確な方向性を示すよう求めていた。
 MEFの試算によると、▽残業代の対象が月給2,000リンギから4,000リンギに引き上げられることで808.7億リンギ▽労働時間が週48時間から45時間に短縮されることで268.8億リンギ▽出産休暇が60日から98日に延長されることで29.7億リンギ▽7日間の父親の出産休暇導入で2億7,500万リンギーーが企業の負担増になる。


 「2022年雇用(改正)法」は「1955年雇用法」を見直したもので、▽出産休暇の増加▽父親の育児休暇の導入▽フレックス勤務制度の受け入れ▽妊娠もしくは妊娠に関わる疾病を抱える女性の解雇の禁止ーーなどが盛り込まれた。雇用契約を結んだすべての人が対象となるが、残業代やシフト手当、解雇手当に関する第60条の項目に関しては、給与4,000リンギ超は適用除外となる。