2023年の昇給率、5%に達する見込み=マーサー調査

【クアラルンプール】 組織・人事コンサルティング会社のマーサーは10日、「年次総報酬調査(TRS)2022」を発表。2023年の昇給率は中央値で5%上昇するとしている。
TRSは、今年4ー6月に国内17業種、637社(そのうち98%は多国籍企業)を対象に調査したもの。マレーシアは、アジア太平洋地域の平均値である4.4%を上回った。アジア太平洋地域で昇給率の中央値が最も高かったのはベトナムの7.1%、最も低かったのは日本の2.2%だった。
業種別に見ると、小売と消費財は2022年にそれぞれ4.5%、4.6%だったが、2023年はともに5%、シェアードサービスとアウトソーシング、ハイテクも、2023年は2022年の5%を維持する見込み。
2022年のボーナス増額率についても、SSOは20.3%、ハイテクは19.9%と予想され、小売は2021年の8.1%から12.6%、消費財が同13.7%から16%へとアップする見込みだ。
マーサーは、小売や消費財の昇給やボーナス増額は、好調な個人消費や景気回復に下支えされたものだが、経営側がインフレやサプライチェーンの混乱など、今後の成長を鈍化させる逆風を予想しているため、増額幅が低めに抑えられていると指摘した。
一方、企業が2023年の人材採用について慎重な姿勢を取っていることも調査で明らかになった。調査対象の組織の約30%(2022年は39%)が人員増を予定しており、1%(2022年は3%)が2023年に人員削減を予定している。
自主退職率は、徐々に上昇しており、特にSSO、ハイテク、化学など、熟練人材が必要な業界ではその傾向が顕著となっている。マーサーは、従業員の定着には、充実した報酬制度を用意するとともに心身の健康、ワークライフバランス、キャリアアップへの配慮など、従業員のニーズに対応することが重要だとした。
(ザ・サン、ザ・スター、11月11日、マレーシアン・リザーブ、11月10日)