マレーシアの頭脳流出率、世界平均上回る=人的資源相

【クアラルンプール】 V.シバクマル人的資源相は、マレーシアの頭脳流出率が5.5%に上っており、世界平均の3.3%を大幅に上回っていると指摘。「真剣に受け止めるべきレベルに達した」として、流出を防ぐための新たな対策の検討に入ったことを明らかにした。
シバクマル氏は、「マレーシアの優秀な人材の多くが海外でのキャリアを追求するために国を離れている」と指摘。180万人が海外で働いており、うち113万人がシンガポールで働いているとした上で、頭脳流出によって熟練労働者が不足すると経済成長と発展が妨げられる可能性があると懸念を示した。
その上でシバクマル氏は、政府がこれまでにも熟練労働者を繋ぎ留めておくための施策を実施し、地元企業が人材開発と訓練に投資することを奨励するためのインセンティブを導入してきたが、人材流出の問題に対応するための長期的な取り組みが必要だと強調。いかにして海外に流出した人材を引き戻せるか、そのための優遇措置は何か、頭脳流失させるような圧力を産業界に加えずに済むかを考える必要があると述べた。
マレーシア統計局のデータによると、海外で働くマレーシア人の54%がシンガポールで雇用されており、これにオーストラリア (15%)、英国 (5%)、米国 (10%) が続いている。
世界銀行のモニターレポートを引用した米スタンフォード・コンピューター・サイエンスは、マレーシアの人材流出現象の主要な要因として、▽魅力的でない給与水準と福利厚生▽キャリアの見通し欠如▽特定の分野での機会の不足ーーを挙げている。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月7日)