賃金分配率45%が目標、漸進的賃金制度の導入は任意=首相

 【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は7日、国民所得のうち賃金が占める割合を示す賃金分配率について、今年は昨年の32.4%から45%まで引き上げることを目指すと述べた。


 アンワル首相は、同日開催された国家経済行動会議(NEAC)会合後の声明で、賃金分配率の向上は労働市場の改善につながるとし、2020年の37.2%から2022年には32.4%に減少していることから、45%まで引き上げることを目指すと述べた。


 アンワル首相はまた、連邦政府が導入を検討している漸進的賃金制度について、あくまで企業が自発的に実施するもので、生産性に連動し、最低賃金制度を補完するものだと強調。部門、職種、レベルごとに毎年の漸進賃金ガイドラインを策定する予定で、予備調査を実施したところ、従業員の62%、企業の80%が、「新制度を歓迎する」と回答したという。ラフィジ・ラムリ経済相も別途、中小企業の経営者などを対象とした調査を行ったところ、最大の利害関係者である雇用主が新制度導入に前向きだったとしている。


 漸進的賃金制度は低賃金解消のために毎年給与を引き上げていく制度で、シンガポールでの導入が進んでいる。マレーシアでも、ラフィジ経済相が5月に導入を検討していると明らかにし、7月には毎年の給与引き上げを義務化する可能性を示唆。それに対し、マレーシア製造業者連盟(FMM)は実施メカニズムや影響に関する全体的な事前調査が必要で、賃金の上昇は生産性の向上に見合ったものでなければならないと指摘していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、8月7日)