議員提案の賃金透明性法、経営者は導入に反対

【クアラルンプール】 サイド・サディク議員が提案した、企業に賃金体系の公表を義務付ける賃金透明性法の制定について、経営者側と労働者側で意見が分かれた。経営者側は導入に否定的だ。組合側は、透明性確保は有益との意見だ。
マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は「能力があるため市場平均より高い賃金を提示される応募者もいる。面接の最後の時点で希望給与を問われるのが常だ。求人広告に具体的な賃金情報を含めることは、高賃金を受けるに値する求職希望者の応募意欲を損なう可能性がある」と法制定に否定的見解を示した。
賃金体系に透明性を持たせる試みは多国籍企業で行われたが、従業員にストレスがかかり、失敗に終わっているという。
サイド・フセイン氏は「隣人が自分の賃金水準を知っているということにマレーシア人は不快を覚えるのでは。マレーシア人はこのような情報開示に対する用意があるだろうか」と述べた。
マレーシア労働組合会議(MTUC)のモハマド・エフェンディ議長は「賃金が支払われることが最重要であり、組合が存在すれば未払いなどの問題は起こらない。組合は組合員の擁護者だからだ」と組合の意義を述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月28日)