マレーシアで大量退職が起きる可能性は低い=エコノミスト

【クアラルンプール】 エコノミストらは、現在の経済情勢の下でマレーシアで「大量退職」が起きる可能性は低いと見ている。
 UCSI大学世論調査研究センターが820人のマレーシア人を対象に実施した調査で、60%が「大量退職の波が起きると思う」、残り40%は「起きないと思う」と回答したことについて、マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、退職を考えている人は転職先が今の仕事よりも安定しているかどうかを検討する必要があり、今の不安定な状況と新型コロナウイルス「Covid-19」の変異株の感染状況を考慮すると、転職するチャンスを掴む準備ができていないとして、大量退職が起きるとは思っていないとの考えを表明した。行動制限令中に多くの企業が在宅勤務を取り入れたことが、従業員にとってキャリアや起業など人生について考えるきっかけとなったと言明。デジタルプラットフォームでは在宅で収入を得る機会が創出され、また政府も起業家支援策として助成金を支給したことで、容易に起業することが可能になっているとした。
 また国際イベント・コンサルタント会社のアリーナ・ミドルイースト・アンド・アジアの人材部門のスリザリン・クリシュナン部長は、新型コロナによる感染者は未だに増加しており、一部で退職が起きたのは自然なことだと述べ、それは発展途上国において成長過程で起きる現象だと指摘。しかし退職者が出る影響を軽減するために企業は、労働文化を変え、副業を認め、柔軟な働き方を形成するなど、新しい働き方を見出していかなくてはいけない重要な時期にあるとした。
(ザ・サン、3月7日)