マレーシアで整理解雇を考える前に

コロナウイルス、MCOの影響で、整理解雇を検討する企業様からの相談が多くなっております。
本記事ではマレーシアで整理解雇に踏み切る前に考慮、実施すべきことを紹介しています。

参考記事:実際に整理解雇を実施する場合の手順 

本記事は実際の手順に踏み切る前に考慮、実施すべきこととなります。

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1.整理解雇の可否の判断

雇用主には整理解雇をする権利があるが、整理解雇は最終手段として扱われるべきなので、実施前に以下の対策が必要
されていなければ不当解雇となる場合がある

  • 会社の業績悪化が証明される状態(最低1年間の決算で赤字)
  • 新規採用凍結・労働時間の制限・定年を超えた従業員の契約解除
    など経費節減が実施されているか
  • 配置転換・自主退職制度などを実行した事実があるか

2. 整理解雇前の措置を行う際の注意点

配置転換を行う場合】
雇用契約書に職種の記載があるか確認要
①「場合によっては配置展開もありうる」などと記載がある際
→従業員の同意は不要

②記載がない場合
→従業員もしくは労働組合との書面による同意が必要

【減給措置を行う場合】
①従業員に同意を書面で得る必要あり

②フォームPKを実施30日前に、従業員が勤務する州の労働局(State Manpower Department)へ提出する
(P.U. (B) 430/2004,雇用法1955 63条)

【VSS・MSSを実行する場合】
フォームPKを実施30日前に労働局へ提出する
(P.U. (B) 430/2004,雇用法1955 63条)

【労働組合がある場合】
協議が原則必須

3.VSSとMSSは何が違うか?

自主退職制度にはVSSおよびMSSという2種類の手法があります。

【VSS:Voluntary Separation Scheme】
会社が事前に条件を決めて従業員全体から募集を行い、従業員側からのオファーのもとに行われる
条件提示の例:補償金・応募資格など
会社側は選択権はなく、応募した従業員が優秀でも引き留めることはできない

【MSS:Mutual Separation Scheme】
個々の従業員に対して行われ、従業員と会社双方が同意した場合に成立する

MSSのやり方は2通りある
1.VSSのように全体に募集をかけた後、会社側で従業員からのオファーを受けるか選択する(弊社推奨)

2.個々の従業員に対して会社が個別にオファーし、受諾した従業員に対して実施

※従業員は退職後は2か月間は不当解雇で訴える権利がある
(労使関係法1967 第20条)
悪意のある不当解雇と受け取られて訴えられないためには、従業員との十分なコミュニケーションが必要

4.VSS・MSSを行う際の補償金の目安

法的な決まりはなく、会社任意で決められる

5.人員選出方法の基準はあるか?

  • 同じ仕事に就く従業員が複数いる場合は外国人から先に契約を解除し、マレーシア人を外国人より先に契約解除してはいけない
    (雇用法第60条N)
  • 同一の仕事をするローカル従業員の人員削減を行う場合、勤続年数の短い者から契約解除しなくてはならない
    (Last In First Out (LIFO)の原則)

6.幹部の日本人もマレーシア人より先に契約解除?

日本人と同一の職務に就くマレーシア人がいる場合は該当するが、いない場合はこの限りではない

7.MCO期間中の整理解雇の注意点

MCO期間中の政府からの支援(賃金RM4000以下の従業員にRM600/月)を受ける従業員については、支援を受けてから6か月は解雇や無給休暇を強制したり、減給をしたりすることはできない
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