「技術者が配車サービス運転手」高学歴に見合う職が不足

マレーシアのシンクタンク、政策研究開発研究所(IRDP)の最新リポートによると、高等教育機関を卒業した学生の数に学歴に見合った専門職の求人数が追いついておらず多くの学生が就職で妥協を迫られている。

「時限爆弾:マレーシアの若者の失業と不完全雇用」によると、2014年から2018年の間に高等教育機関から合計120万人が卒業した。同期間中に増加した雇用は28万4,000人分で、うち高学歴の学生向けの職は全体の12%に当たる3万4,500人分程度にとどまった。

このためエンジニアを学んだ卒業者が営業の仕事をしたり、海洋生物学を学んだ学生が保険外交員になったり、法学部の卒業生が配車サービスの運転手になったり、航空エンジニアを学んだ者がウェイターになったりするような事態が起きているという。

同リポートでは、大学生が増え続ける一方で高技能の雇用が不十分となっており、多くの高学歴の若年労働者が自身の学歴に見合わない職につくことを余儀なくされていると指摘。 最近の大卒者が▽高い失業率▽不完全雇用▽低賃金——3つの大きな問題に直面していることを示しているとしている。

華字紙「星州日報」の取材に対し、マレーシア経営者連盟(MEF)のシャムスディン・バルダン専務理事は、国内外で景気が低迷していることを受けて多くの事業主が人件費コスト削減のために新規雇用に慎重になっていることが背景にあると指摘。今年1—8月には約3万人が解雇されたと推定し、新卒者に多くの選択肢がなく、低賃金の現実を受け入れなければならない状況にあると述べた。

(星州日報、9月29日)

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