雇用市場改善、半導体産業など一部はパンデミック前水準に回復

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アジアでオンライン求人サイトを展開するジョブストリートが発表した調査報告書「ジョブ・アウトルック・レポート2022(マレーシア)」によると、雇用市場は回復を続けており、特に半導体・ウエハー製造、電気・電子(E&E)、コンピューター・情報技術(IT)ソフトウェア、輸送・物流の4大産業で、パンデミック前の水準に回復している。
 同調査は、2021年にジョブストリートに掲載された正社員求人広告24万7,400件および応募データから国内雇用市場について分析したもの。
 求人広告件数が最も多かった業種は製造で、全体の13.7%を占め、次いで▽コンピューター・IT(13.6%)▽小売・流通(7.1%)▽銀行・金融(6.7%)▽E&E(5.9%)▽建設・建築(4.8%)▽飲食(4.6%)▽輸送・物流(3.8%)▽コンサルティング(3.6%)▽ヘルスケア(3.3%)ーーが続いた。
 求人広告の増加率が最も高かったのは飲食で前年比3.4倍だった。それに▽E&E(増加率70.4%)▽小売・流通(58.6%)▽コンピューター・IT(42.4%)▽ヘルスケア(38.9%)▽輸送・物流(38.8%)▽製造(32.9%)▽建設・建築(26.8%)▽銀行・金融(26.0%)▽教育(24.8%)ーーが続いた。
 パンデミック前の水準に回復した4大産業のうち、半導体・ウエハー製造では、求人広告の約70%がエンジニアリングと製造の専門職を占め、地域別ではペナン州が55%と過半数を占めた。パンデミックによるデジタル化や自動車産業の部品不足により、求人需要が大きく伸びた。
 E&Eでは、エンジニアリング関連の求人広告は35.8%と最多で、地域別ではペナン州が50%、セランゴール州が23%だった。顧客企業であるヘルスケア、自動車、小売などの業界の成長を受け、回復した。
 コンピュータ・ITソフトウェアでは、エンジニアリング(9.4%)、セールス(9.3%)の求人広告が多く、州別ではセランゴール州がトップの41%だった。世界的なIT人材不足を受け、今後は企業に報酬・福利厚生・勤務体系の改善が求められる可能性があるという。
 運輸・物流では、物流とサプライチェーン管理専門職の求人広告が前年比48%増加し、全業界の求人広告の30%を占めた。地域別では首都圏(セランゴール州とクアラルンプール)が77%を占めた。オンラインショッピングの台頭により、物流会社や物流受託部門に多くの雇用機会が生まれた。
 移動制限が緩和された2021年第4四半期には、全60業種中55業種で求人広告が増加。ワクチン接種完了者の増加に伴い、採用活動も活発化した。