労働組合制限撤廃に向けた法改正、経営者連盟が反対表明

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)は、労働組合の結成に関する制限撤廃を盛り込んだ労働組合法改正案に対して反対を表明した。制限を撤廃すれば組合の乱立を招き、ひいては労働争議を頻発させ投資を冷え込ませる恐れがあるとしている。
改正法案「2022年労働組合法(改正)」は、国際労働機関(ILO)の「1948年結社の自由及び団結権保護条約」(第87号)の原則に沿って起草されたもので、今年3月に下院議会に提出された。順調にいけば7月にも採決が行われる見通し。
労働組合の多様性を確保するために、特定の事業所または労働、職業、産業における類似性に基づく労働組合の結成に関する制限を定めた「1959年労働組合法」の条項を撤廃する内容が盛り込まれており、同じ会社の中や業種であっても複数の組合の設立が可能となる。
MEFのサイド・フセイン議長は、労働者が自由に労働組合を設立することが出来るようになれば会社は複数の労働組合と相対しなければならなくなり、ひいては投資を冷え込ませる恐れがあると指摘した。また組合が経済の安定に悪影響を与える可能性のある政治的手段として使用されるリスクや外国人を含むすべての労働者がマレーシアで組合活動を組織して、個人的、政治的またはその他の利益を追求するリスクがあるとし、ストライキが頻発する可能性は否定できないと指摘。既存の調和のとれた労使関係に害を及ぼす可能性があるとし、ILO条約第87号の原則自体は支持しているものの運用に際しては現実的に対応する必要があると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月17日)