最低賃金引き上げ、多くの産業が準備不足=MEF

【クアラルンプール】 2年に一度行われる最低賃金見直しが今年第1四半期にも発表される見通しだが、ほとんどの産業が新型コロナウイルス「Covid-19」の打撃から立ち直っておらず最低賃金引き上げの準備が出来ていない状況だ。現在の最低賃金は全国一律1,200リンギとなっている。
 マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、賃金やコストの問題を論じる際に企業の95%が中小零細企業(MSME)のカテゴリーに属していることを留意する必要があると指摘。少数の大企業には賃上げに対応する能力があるが、多数派を占めるMSMEはコストがわずかに上昇するだけで廃業に追い込まれるとし、最低賃金を見直す際にはこうした事情を考慮する必要があると述べた。
 サイド・フセイン会長はまた、ゴム手袋製造大手のスーパーマックスが先ごろ社内の最低賃金を1,400リンギにすると発表したことに触れ、財務状況が健全な個別の企業のケースであって全国のインフレ率に影響を及ぼすことはないと指摘。重要なのはモノやサービスのインフレを抑えることだとし最低賃金をいくら引き上げてもインフレ管理が出来なければ意味がないとし、コスト上昇の度合を調査するための全国コスト監視評議会の設立を提案していると述べた。
 一方、マレーシア科学技術大学(MUST)大学院のジェフリー・ウィリアムズ博士は、スーパーマックスの変化を評価した上で外国人労働者に対する扱いに関する国際的非難に対応したものだと指摘。ただ1,400リンギでもまだ不足であり、労働者の生産性や付加価値を反映していないと主張した。
 市場教育センターのカルメロ・フェルリト最高責任者(CEO)もスーパーマックスの変化が政治的な強制ではなく自主的なものであることを評価。インフレの危険な部分は経済成長より速く拡大したマネーサプライ(ここに入っている改行を削除ください
財政出動や金融緩和など)から来ているため、財政健全化により解消されるとし、最低賃金の上昇自体はインフレ拡大への脅威にはならないとした。
(マレーシアン・リザーブ、1月7日)