最低賃金引き上げ準備不足の企業が67.2%=MEF調査

【ペタリンジャヤ】 マレーシア経営者連盟(MEF)の調査によると、企業の67.2%が最低賃金引き上げに対応する準備ができていない。
2年に一度行われる最低賃金見直しが今年5月に行われ、5人以上の従業員を擁する企業は5月より最低賃金を全国一律で月額1,500リンギに引き上げ、労働者が5人未満の場合でも年内に引き上げを実施する必要があるが、MEFのサイド・フセイン会長は、最低賃金引き上げにより、企業には25ー35%の追加コストが発生し、財務を圧迫していると述べた。
MEFが以前行った調査では、企業のうち77.4%が「最低賃金の引き上げを望んでいない」と回答。大半は、業績や生産性に応じた賃金を望んでおり、約半数が「最低賃金の引き上げは経済回復の努力を阻害する」と回答している。コスト増については、55.7%が「コスト上昇分の吸収を望んでいない」と回答、64.7%が「コスト上昇分を部分的に顧客に転嫁する」と回答し、35.3%が「コストを完全に消費者に転嫁する」と回答した。
サイド・フセイン会長は、MSME(零細中小企業)は最低賃金引き上げによりキャッシュフローの問題に直面するとし、MSMEを支援する補助金の多くがすでに終了していることから、2023年度予算案により多くの財政援助が含まれることを期待していると言明。また、2023年度予算案は雇用維持、雇用数増加、生産性向上、競争力強化などを通じた経済回復に集中すべきだとし、質の高い雇用創出によって多くの現地人材を雇用できるような施策が必要であり、最低賃金は、あくまで雇用が確保されている場合にのみ有効であると強調した。
一方、マレー経済行動委員会(MTEM)のアハマド・ヤジド・オスマン上級研究員は、MTEMは最低賃金引き上げに全面的に賛成しているものの、年度途中の最低賃金引き上げは中小企業にとって問題で、消費者にコストを転嫁せざるを得なくなっていると言明。世界危機が重なったタイミングでの最低賃金引き上げで中小企業は苦しんでいるため、政府は、引き上げ免除対象を再考し、例えば「年間売上高300万リンギ以下、従業員が30人以下」といった企業も年末まで引き上げが免除されるべきだとした。また、中小企業の事業拡大と雇用確保に向け、賃金補助制度を継続することを提案し、産業や自治体、州によって生活費が異なるため、最低賃金は一律にすべきではないと述べた。
(ザ・スター、8月29日)