パーム油業界の損失額、労働力不足で200億リンギに拡大の予想

【ペタリンジャヤ】 パーム油業界は深刻な労働力不足が継続していることで限界まで追い込まれている。生産量が大きく落ち込み、損失額が現状で150億リンギ、年末までに200億リンギに達する見込みだ。


 ある業界関係者は、英字紙「ザ・スター」の取材に対し、労働者が今すぐ来なければ、業界の機会損失は年末までに200億リンギ以上になる可能性があるとし、労働者不足は以前よりも悪化し、現状では約12万人が不足しているとした。また、経済的損失を受けるだけではなく、長引いている収穫間隔を元に戻し、作物品質を向上させるのにも時間がかかり、収穫作業に影響が及ぶと述べた。


 ユナイテッド・プランテーションズのカール・べ・ニールセン最高経営責任者は、国内のほとんどの農園が「過去最悪の労働力不足」に直面しているとし、今年の国内パーム油産業の総収穫損失は、果房で600万トン強、植物油で100万トン強と推定されるとした。また、労働力不足が第3四半期の生産にマイナスの影響を与えると述べた。


 一方、マレーシア・パーム油協会(MPOA)のジェフリー・オン評議員は、第3四半期にはパームの収量が増加し、熟成が始まると予想。収量増加は2023年第1四半期初頭まで続くとし、この高収量を最大限に生かすことができるかどうか、つまり熟した新鮮な果房を腐らせることなくすべて収穫できるかどうかが問題となると述べた。また、インドやバングラデシュなどから労働者を獲得できているにもかかわらず、労働者不足が続いているのは、インドネシア人の収穫効率が他国の労働者に比べはるかに高く、他国の労働者は訓練を受けてもインドネシア人の半分しか収穫できないせいだとし、インドネシア人を獲得できない場合、他国からの労働者数はより多く必要になると述べた。


 政府は農園産業への外国人労働者受け入れ許可を出しているが、事務的な問題により実際の受け入れにはまだ時間がかかるかもしれないという。
(ザ・スター、9月2日)