マレー語紙元従業員への未払補償金支払が優先=高裁判断

   

【クアラルンプール】 自主退職制度(VSS)に応じて退職したマレー語紙のウトゥサン・ムラユの元従業員約600人について、高等裁判所は25日、同紙の債権者ではなく管財人であると認定。未払いとなっているVSS補償金約6,000万リンギについて、債権者よりも返済優先権があるとの判決を下した。


 高等裁判所のナザリン・ウォク・ノルディ判事は、2019年10月7日付けの債権者任意清算(CVL)行使の前にVSSを活用した従業員に対し、実際に支払いが行われたのは8件のみだったと指摘。VSSでは5,940万3367.97リンギの未払い金があり、593人の従業員が清算人に債務証明(POD)を提出したと述べた。


 経営危機に陥っていたウトゥサン・ムラユは2018年に従業員にVSSを実施し、12カ月間に合計12回、早期退職に伴う補償金が支払われる予定だったが、2019年に債権者から資産清算を要求されたことにより、支払いが滞っていた。


 ナザリン判事は、ウトゥサン・ムラユのアブドル・アジス元会長の2019年10月8日付けの手紙に「VSSの支払いはグループ資産の売却で得た資金により賄う」という合意について記されていることが証拠であるとし、資産の売却から必要経費や税、雑費などを差し引いた後の純収益は、まず元従業員に支払われるべきだと述べた。


 ウトゥサン・ムラユの債務額は3億2,398万リンギに及び、その支払いのため、資産清算の許可を高等裁判所に申請。2019年12月に高等裁判所(商業部門)は清算人の選任を承認した。資産、不動産合わせ合計29件が売却対象となっている。
(エッジ、10月25日)