改正雇用法、多くの企業が「事業コストへの影響大」と回答

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア華人商工会議所(中華工商聯合会、ACCCIM)が会員企業を対象に行った「2022年改正雇用法」の影響に関する調査によると、回答者全体の40%以上が、法律の適用範囲の拡大、労働時間短縮、出産休暇日数の引き上げ、残業代の対象拡大・引き上げ、による事業コストへの影響度合について「中度もしくは高度」と回答した。
法改正の影響内容については、61.6%が残業代の支払いなどコスト増加を挙げ、39.7%が事業運営の滞りを挙げた。「影響なし」は22.1%にとどまった。
影響度合が大きいと指摘する声が最も多かったのは、法改正で60日から98日に引き上げられた出産休暇で、「中度もしくは高度」が合計85.3%に達した、この対策として、41.3%が男性社員比率を増やす方向にシフトしたと回答。ACCCIMは「女性の労働参加を奨励し、男女平等を推進する上で良い兆候ではない」と指摘している。
2番目に多かった労働時間短縮については、79.3%が運営コストに対して何らかの影響があったと回答。「影響なし」は20.7%にとどまり、「10%以上の人件費増」との回答も22.6%もあった。残業代の対象拡大については、80.7%が何らかの影響があったと回答。「影響なし」は19.3%にとどまった一方で、「10%以上の人件費増」も26.4%に達した。残業代については、法改正により支給対象がこれまでの2,000リンギ以下から4,000リンギ以下に拡大されている。
また事業コスト軽減に向けての政府に対する要望としては、▽出産手当の雇用保険制度(EIS)もしくは社会保障機構(SOCSO)による負担(64.6%)▽出産休暇増加分38日について政府と雇用者の出産手当共同負担(56.1%)▽出産手当に対する税の二重控除 (52.3%)ーーが上げられている。