シンガポールへの頭脳流出は避けられない=世界銀行

【クアラルンプール】 マレーシアからシンガポールへの頭脳流出は、所得格差が存在するため避けられないと世界銀行は見ている。


 チーフ・エコノミストのインダーミット・ギル氏は、ほとんどの国で高学歴者の国外流出が発生しており、例えばインドネシアとマレーシアを比較すると、マレーシアの所得が約3倍となっているため、インドネシア人はマレーシアに働きに来ているとし、マレーシア人が豪州、シンガポール、米国、英国に出稼ぎに行くのは自然な流れだと述べた。


 アプルバ・サンギ主席エコノミストも同意見で、マレーシア人がシンガポールで働くのを食い止めることは不可能だとし、まず国内で生産性の向上を図るべきだと述べた。マレーシアの賃金はシンガポールや豪州と比較すると低いが、生産性に比べて低いわけではないため、賃金アップには生産性の向上が不可欠だとしている。


 また、一般的に「頭脳流出」が否定的に捉えられていることについてサンギ氏は、経済界には「海外に労働力が奪われる」という誤解があり、それを正す必要があると述べた。例えば、米国がフィリピンから多くの看護師を誘致するためにビザ政策を変更した際には、より多くのフィリピン人が看護業界に参入する動機となり、実際に免許を取得した看護師10人中1人が海外転職したものの、9人は国内で働き続けていると述べた。インドでも、他国のIT産業に転職するために出国した人が多くいる一方、国内にまだ膨大な数のIT専門家が残っており、インドのデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する基盤となっているとした。
(エッジ、6月11日)