昨年の労働災害補償金は14億リンギ=社会保障機構

【クアラルンプール】 労働災害補償機関の社会保障機構(SOCSO)は、2021年に労働災害関連の補償金として合計14億リンギを支払ったと明らかにした。
予防・医療・リハビリテーション部門責任者のアズラン・ダルス氏によると、2021年のSOCSOの中間データでは、職場関連の事故は合計6万1,447件。そのうち3万6,794件が労働災害で、約700人が死亡、2万4,683件は通勤途上の事故だった。死亡事故が最も多い業種は建設業。
アズラン氏は、ロックダウン後の経済回復期に入った今、これまでの悪しき慣行をリセットして職場の労働安全衛生をより重視することが必要になっていると述べた。事故発生後に補償金を支払うだけでは不十分で、いかに予防策を講じるかが重要だとし、2017年、政府が建設業向け「労働安全衛生ガイドライン」を導入したことで、建設現場の安全と健康を確保する責任は、請負業者だけでなく、設計者や開発者の義務にもなったと強調した。昨年、国会で可決された労働安全衛生法の改正案では、政府が設計者だけでなく開発者の責任も含んだ規制を制定できるようになったため、近いうちに開発者に対する安全衛生確保の義務付けを考えているという。
一方、SOCSOリハビリテーション・センターでは現在、労働災害による負傷や職業性疾病に苦しむ合計9,500人の被保険者が治療を受けており、そのうち約7,800人が、トゥン・アブドゥル・ラザク・リハビリテーションセンター(TRRC)で職場復帰や日常生活での動作改善を目指しリハビリを受けている。TRRCでは、日系企業のサイバーダインと共同で高度なロボット・リハビリを行なっており、同種のリハビリ・センターは国内で他に5カ所設置されているが、7カ所目のセンターがペラ州イポーで2024年までに完成する予定だ。現在、TRRCで利用できる病床は381床しかなく、待ち時間は3カ月にも及ぶという。
(ベルナマ通信、3月29日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月30日)